2021/09/27(月) 17:00 0 4
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は前回に引き続き、共同通信社杯からの好プレーを紹介! 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
前回取り上げた芦澤大輔(39歳・茨城=90期)と芦澤辰弘(33歳・茨城=95期)の兄弟のレースには、もう一人の物語があった。桑原大志(45歳・山口=80期)。ここでは勝利した山口拳矢(25歳・岐阜=117期)ではない。
桑原は単騎での戦いを選択していた。芦澤兄弟や山口がいるドラマでの、もう一つの物語。桑原大志のスピンオフ。
このレース、西日本というくくりでいえば、山口が自力型として一人いた。桑原は追い込み型。山口に付ける選択肢もあった。「初日もいい走りをしていたし、地元で盛り立てたいという思いも。でも、自分でやってみたかった。西だからつかないといけないっていうルールもないしね」。
託すことでチャンスも生まれたかもしれない。しかし、その先には…。45歳の決意がにじむ。
難解な構成も「単騎で準決の切符を取れたとしたら。それを取りたい」と、挑む気持ちだったのだ。老け込むことはなく、さらに成長するには、“今の自分に対してどういう決断が必要なのか”が重要だった。先行した芦澤兄弟ラインを追うと、2角からまくりに行く。最後は大輔との勝負。「これくらい、でしたね」と指で小さな間隔を作った。
微差。ほんのわずかな差で準決進出はかなわなかった。「この微差を埋めにいきます」。
届きはしなくても、2角からゴールまで意味のある“微差”にたどり着いた走りに★4つ。やや年齢を強調する形にはなったが、桑原としては年齢関係なく自分自身に対する視点からの決断だったと思う。それでも、今その決断ができることに敬意を表したい。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)