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スタートダッシュで明暗分かれた新旧S班、下剋上の可能性秘める選手は?/ウィナーズカップ直前賞金状況

アプリ限定 2025/03/14(金) 18:00 0 16

脇本雄太のグランプリスラムで終幕した今年最初のGI・全日本選抜。年末の大一番であるKEIRINグランプリのイスがひとつ埋まったこのタイミングで、競輪界の中心的存在であるS班の活躍と次期S班の座を狙う有力選手について獲得賞金状況から考察した。(※賞金は3月10日時点)

KEIRINグランプリ2024(撮影:北山宏一)

GI全日本選抜で分かれた明暗

 2月に今年一発目のGI・全日本選抜が開催され、脇本雄太が優勝し4年連続のグランプリ出場を決めた。賞金の高いGI競走が行われたことによって徐々に賞金ランキングにも動きが発生している。

全日本選抜を制した脇本雄太(撮影:北山宏一)

 まだ3月とグランプリまで先は長いが、年間通して賞金変動を追いかけることで年末の熾烈な賞金争いをより楽しめるだろう。

グランプリ圏内に位置するS班は4人のみ

 さて、ここで現S班と前S班の選手の賞金状況を見てみよう。4月からS班に繰り上がる犬伏湧也を含め、賞金ランキング50位以内に入っている10選手をグラフで紹介する。

 2025年のS班で現在グランプリ圏内に入っているのは、犬伏を含めても半数以下の4人。まだ3月とはいえ、意外な状況ではないだろうか。それでは、各選手の戦いぶりを振り返っていきたい。

2年連続S班組は上々の滑り出し

 24年、25年と2年連続でのS班組の古性優作脇本雄太新山響平眞杉匠清水裕友。このうち脇本雄太が全日本選抜優勝、その他の4人も清水裕友を除いて全員20位以内と大崩れすることなく、S班らしい力を発揮しているといえるだろう。

 その中で眞杉匠は20位とやや出遅れ気味ではあるが、1月にあっせんが止まっていた影響が大きく、ここからの巻き返しに期待したい。

ここから巻き返したい清水裕友(写真左)と眞杉匠(撮影:北山宏一)

 清水裕友は現状50位圏内からも漏れているが、肺血栓の影響で欠場が続いたことが理由だ。全日本選抜から復帰しており、十分に力を出せる状態にさえ戻れば、グランプリ争いに加わってくるだろう。

平原康多に訪れる大ピンチ

 新S班・S班復帰組もグランプリ連続出場に向けて負けられない。まず復帰組の郡司浩平はGIII優勝2回、全日本選抜も優出こそ逃したがスタールビー賞を勝利するなどの活躍でグランプリ圏内の4位と上々の滑り出し。

 しかし同じく復帰組の平原康多は今年だけで2度落車、昨年後期でも複数回の落車とアンラッキー続きの苦しい状態に陥っている。負傷の影響で今回のウィナーズカップも残念ながら欠場となってしまったが、S班キープのために何としてもこの苦境を脱したい。

平原康多は負のスパイラルから抜け出せるか(撮影:北山宏一)

 新S班組の岩本俊介は今年優勝こそないものの、12走してそのうち確定板を外したのは3度だけと大崩れせずにコツコツ賞金を積み重ねて13位の位置に。ここからもその安定感を維持し続けられるかが大きなカギになるだろう。

 同じく新S班、正確に言えば4月から北井佑季に代わってS班へと繰り上がる犬伏湧也は9位。S班となる4月から他のS班と同様にグレードレースのみのあっせんになれば賞金加算のための大きな後押しとなりそうだ。

4月からS班へと繰り上がる犬伏湧也(写真提供:チャリ・ロト)

S班復帰へ燃える4人、深谷知広に大チャンス到来

 24年はS班として戦っていたが、その座を守ることが出来なかった松浦悠士深谷知広佐藤慎太郎山口拳矢もS班返り咲きを目指して奮闘中。

 深谷知広はGIII優勝2回、全日本選抜でも決勝3着の活躍で賞金は早くも3000万円を突破し、2位にランクイン。今年もすでに何度も連係している郡司浩平岩本俊介との南関強力トリオでこの位置を死守したいところ。

 山口拳矢は全日本選抜こそ振るわなかったものの、今年はすでに立川記念を含む2度の優勝もあり、12位と十分に上が狙える位置に付けている。ウィナーズカップには出場できないがその分、自身の初タイトルでもあるダービーで巻き返しを図る。

S班返り咲きに向けて好スタートを切った深谷知広(写真左)と山口拳矢(撮影:北山宏一)

 松浦悠士はランク外だが、1月はあっせん停止で出走できなかった影響が大きく、ここから逆襲が始まる。同じくランク外の佐藤慎太郎松阪記念の落車で骨盤骨折の大怪我を負ってしまった。それでも、不屈の闘志で必ずやファンの前で再び熱い走りを見せてくれるだろう。

“次期S班”有力候補は?

 最後に、S班以外の賞金上位選手を見ていきたい。

 ナショナルチームを引退し、競輪に専念してから3年目に突入した寺崎浩平が3位にランクイン。全日本選抜の決勝では同県かつ元ナショナルチームの先輩でもある脇本雄太とワンツーを決めて大幅に賞金を加算した。持っている脚は一級品、そろそろS班の称号が欲しいところだ。

初のグランプリ出場を狙う寺崎浩平(写真左)、4年連続のグランプリ出場を狙う吉田拓矢(撮影:北山宏一)

 6位にランクインしているのは、全日本選抜で優出したのち玉野記念を制覇した吉田拓矢。4年ぶりのグランプリ出場に向けて、眞杉匠佐々木悠葵森田優弥、そして弟の吉田有希ら関東の強力な自力選手たちと力を合わせて戦う。

 そしてなんと7位には昨年の年間獲得賞金50位圏外の村田雅一。今年は一度も1着が無いが、2着6回、3着も6回と確実に連下に食い込んで来ている。昨年は岩本俊介が40歳でのグランプリ初出場を果たしたが、今年も40代で初のグランプリというドラマを起こせるか。

ベテランながらグランプリ圏内に位置する村田雅一(写真左)と浅井康太(撮影:北山宏一)

 最後にグランプリ優勝2回、実績は申し分ない40歳のベテラン浅井康太に注目だ。過去3年の年間獲得賞金は14位(24年)→16位(23年)→20位(22年)と安定して上位に食い込んではいるが、あと一歩届かないという年が続いている。中部勢は現状、浅井、山口拳矢以外の選手は苦戦しているが藤井侑吾村田祐樹などの若手選手の頑張り次第で浅井のチャンスも広がりそうだ。

 ウィナーズカップは選考基準が特殊なこともあり、上記で取り上げた選手の中にも出場できない選手が多数。ここで名前が挙がらなかった選手も挽回するチャンスは大いにある。

 ゴールデンウィークにはGIの中でも最も賞金額の大きい「日本選手権競輪」も控えている。ウィナーズカップでの賞金変動次第で選手の戦い方に変化も出てくるだろう。そういった意味でも今回のウィナーズカップは見逃せない戦いになりそうだ。


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