2021/09/08(水) 09:00 0 3
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!今回は5日に閉幕した平安賞からピックアップ。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
伝統の平安賞決勝。脇本雄太(32歳・福井=94期)に自力として挑むのは、眞杉匠(22歳・栃木=113期)と大石剣士(25歳・静岡=109期)の若者。2人とも、構え、気負い、ぶつかろうとしていた。先行日本一であり、世界での戦いぶりを見れば、“先行世界一”といえる脇本。一緒に走れるだけでも…の存在だ。
瓜生崇智(26歳・熊本=109期)は単騎で、隙を伺う…。
今はまだ倒す力はなくても、挑むだけでも大きな経験になる舞台。しかし…。
「ちょっと遅いと思った」と、脇本は2人に出番を与えない2周突っ張り先行に出た。
そのまま、残り半周の上がりタイムは『11秒0』という圧勝だった。
今回の好プレーポイントは、若手2人の心の隙を突いたところ。「下げるだろう」は甘かった。それでいて2周を突っ張って勝負するのはリスクもある。勝つことと、2人に何かを教えることを見せつけた★4つのプレー。
自身の状態とシリーズの流れを知り抜いた大人の優勝だった。赤板前、眞杉が大石を見た時、脇本は「そこに、オレはいないよ」とつぶやいたことだろう。
“オレ”とはただ脇本本人のことではない。倒すべき相手、もっと成長するためにぶつかっていくべきもの、だっただろう。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)