2021/09/07(火) 19:00 0 1
水書義弘は先行の職人。S級上位で活躍して35歳まで先行1本で戦っていた。記念の優勝はなく、S級の優勝は7、8回。ただ、一度だけ特別競輪の準決勝まで進んだことがあると言う。
「あの当時は南関のマーカーの“圧”が凄かったので(笑)。自分でも先行にプライドを持っていたし、バックを取れないレースが年間3回と言う年もあった。その3回も主導権は取っていますけど。今なら柔軟に攻めれば良かったと思うし、あの当時は頑固でしたね」。
もちろん南関同士の競りも多くあったそうで、同県同士の高木隆弘と佐々木龍也で折り合いが付かないレースもあったと言う。温厚な人柄で有名だが、記者は何度か水書がジカで競りに行く姿を目にしている。
「自分の性格として、そう言うのは向かなかったけど、やられたレースでやりに行ったことも確かに何回かありましたね。期間限定で競りに行ったこともあるけど短い時間でしたよ(笑)」。
思い出のレースは? と聞くと「同級生の村上義弘に先行で勝ったことが1回だけあるんです。彼は遅咲きだったから、若い頃ですけどね。名前が同じ義弘で親近感があるし、この年になり彼の愚痴を聞くと嬉しく思うこともありますよ(笑)」。
一時代を先行で築いた選手だし、記録より僕の中では記憶に残る選手である。(町田洋一)