2025/02/04(火) 18:00 0 5
2月21日から今年最初のGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」が開催される。その舞台となるのが豊橋競輪場。2020年に同大会の開催地となり、今回5年ぶりのGI開催を控えている。今回はナイター開催中の豊橋競輪場にお邪魔して、本場の楽しみ方と競輪場グルメをリサーチしてきた。(取材・構成=netkeirin編集部)
豊橋駅から無料バスまたは路面電車市内線「競輪場前」駅から徒歩8分で到着する豊橋競輪場。入口から広がるノスタルジックな雰囲気は、まるでここだけ昭和にタイムスリップしたようだ。
開催案内ひとつとっても、どこか懐かしいデザイン。場内の装飾はえんじ色を基調に、昭和の風情が漂っている。レトロな雰囲気の競輪場は少なくないが、ここまで徹底した世界観を貫いているのは大きな特徴といえるだろう。
広報担当者に話を聞くと「新しい競輪場ではないのですが、逆にそれを活かした雰囲気にしています」とのこと。昭和30年代をイメージしているそうで、当時は競輪全盛期。訪れたお客さんからは『時が止まってるのかと思った』と声をかけられることもあるそうだ。
GIでは入口そばのイベントステージで予想会などが行われるが、この劇場風のステージも少年時代を思い出すようなレトロ感。その横に飾られているのは、過去の開催ポスター。地元選手が出演しているパロディポスターで、競輪をもじったタイトルと選手の体を張った(!)コスプレ姿が見どころだ。
掲示板には視聴者投票で選ばれたトップ10、まさに“傑作”がズラリ。1位は有名野球マンガになぞらえ、立派な眉を生やした選手たちが並ぶ。『ちぎりのジョー』『自力はつらいよ』など、競輪好きには伝わる振り切った遊び心に思わずクスッとくるはず。非常に芸が細かいので、来場した際はぜひ近くでディティールまで観察してみてほしい。
入場料は無料。屋内施設はメインスタンドに集約されており、本場開催時の特別観覧席の入場料はグレード問わず500円と破格。プロジェクターとTVモニターが多数設置されており、寒い冬でも快適に過ごせるのが嬉しい。特にゴール前付近が人気だ。
特観席からはバンクが一望でき、金網なども干渉しないためクリアな視界が嬉しい。バンク内に描かれたキラキラの瞳でおなじみ『大外まくる君』のイラストもよく見える。
無料エリアの屋外も特観席同様にゴール前が人気。ぐるりとバンクを囲むようにスタンド席が設置されていて、迫力あるスピードと音を目の前で感じながら座ってレースを観ることができる。
少し高い位置の席を選べばバンクを一望でき、写真も撮りやすい。本格的なカメラを持って競輪場を訪れるファンもいるそうだ。(※撮影の際は周囲のお客様に配慮をお願いいたします)
本場開催ならではの楽しみのひとつが『勝利者インタビュー』。バンク内で行われることが多いインタビューだが、豊橋では金網の外側、お客さんの目の前にあるお立ち台で行われるのが通例だ。
通常開催では勝ち上がり戦とガールズ戦で実施しており、この日は三重の伊藤優里選手が元選手の猪子真実さんにインタビューを受け、地元地区の声援に笑顔で応えていた。
インタビュー後には選手からタオルのお渡しタイムも。おなじみのキャラクター『大外まくる君』がデザインされたオリジナルタオルを数枚、選手が配ってくれる。
GIでは全レースでインタビューを実施予定だそう。憧れのあの選手が1着を取ったあとはぜひホームストレッチ前で“推し”を出迎えてほしい。
メインスタンド2階にある『レストラン豊』は人気のとん汁定食をはじめ、どて丼やカツカレー、生姜焼き定食などボリューム満点の品ぞろえ。からあげやフライドポテトなど軽食も充実しており、スナック菓子も豊富にラインナップ。レストランとしても売店としても利用できる。店内には2台の吊り下げテレビも完備されているので、くつろぎながらのレース観戦もご安心。
編集部が注文したのは「とん汁定食」と「どて丼」。どっしり赤味噌ベースのとん汁は濃厚で味しっかり。東日本地域の“定番とん汁”とは別物で、塩気よりもコクのある甘味を感じる“愛知仕様”だ。豚肉、こんにゃく、豆腐、大根、ゴボウ、青ネギが大振りに放り込まれており、ざっくり歯ごたえに大満足できる逸品。
調理担当のおとうさんにこだわりを聞くと「ご飯を食べにくるお客さんというより、レースを観に来るお客さんがメインなので、料理がとがらないように“大衆味”というのはかなり意識しています」とのこと。懐かしくアットホームな味は空腹にも優しい。とはいえベースとなる赤味噌は厳選されており、「車券推理には頭を使うでしょう? だから甘みとコクの強い三河味噌を仕入れています」とのこと。
「どうしても赤味噌のインパクトが強いとん汁になるから、それに負けないように具材の切り方は野性味を重視してます」とザク切りスタイルのワイルド具材にもこだわっている様子。1日の注文量を見立てて一気に煮込むため、素材にも出汁が染みわたり放題。ご飯が無限に進むとん汁定食だ。
ふっくらご飯に“モツのどて煮”をドカッとのせたのが名前の通り「どて丼」。ご飯との相性は抜群で、箸を休めるヒマもなし。ボリューム満点で空腹時に『ガツンと飯をかきこみたい』系の腹ペコさんに重宝してもらいたい丼めしだ。「モツのくさみを取り除くため下処理にはこだわっている」とのことで、なおかつ赤味噌をまとっているため、臓物特有のイヤな感じはゼロ。されどモツの風味はほどよく残されているので安心してかきこめる。また生姜がかなり効いており、肉と飯でも退屈しない。
10年以上こちらで働いているというおかあさんは、5年ぶりのGIを控え「どれくらいのお客さんが来てくれるのかわかりませんが、多くの方の来場がとても楽しみです。でも賑わいが読めずちょっと怖いですね(笑)」とドキドキの様子。「顔なじみの常連さんも多くて、当たったハズレたと声をかけてくれるお客さんも多いです(笑)。競輪場のレストランとして長く営業してきたリラックスできるアットホームな空間でお待ちしています」とやさしい笑顔で話してくれた。
場内売店『みなみの』は格安B級グルメが愉しめるお店。切り盛りするのは「お店を何年やってるか忘れたよ」という“名物おばちゃん”。おにぎり(120円)、焼きそば(400円)のほか串ものが大充実。じゃがいも、ウインナー、串カツ、やきとりはすべて100円台のため、ちょっと小腹が空いた時にふらっと立ち寄りたい。
おしるこやおでんなど体が温まるメニューも揃っているので、冬の冷え込み厳しいレース観戦にも対策バッチリ。人気の厚揚げおでんは驚くほどのビッグサイズで、噛めばじゅわっと出汁があふれて美味!
「もうお客さんとは言いたいことを好きに言い合ってるよ(笑)」と話すおばちゃんのスマイルは無料。昔ながらのレトロ売店が好きな方はぜひ。
GI開催時は特別イベントとしてよしもと人気芸人のライブを予定。22日には『鬼越トマホーク』のお二人、23日には『とにかく明るい安村』さんが来場予定だ。
また選手会愛知支部がおなじみのイベント『ふとももカフェ』を開店予定。普段から競輪を楽しんでいる方も、初めて競輪場を訪れる方も楽しめるイベントが盛りだくさんだ。
昨年話題となった新しいポスターに掲げられたキャッチコピーは『好きにしりん』。地元・三河弁の基本形といわれる「じゃんだらりん」を用い、意味は『好きにしなよ』。
GI全日本選抜でも、レースを観るもよし、競輪予想を楽しむもよし、グルメを楽しむもよし、イベントを楽しむもよし! ひとりひとりが『好きな楽しみ方』で1日を過ごせるよう、着々と準備が進められている。
5年前のGIでは4日間で3万人以上が訪れ、場内は活況となった。競輪ファンの皆さまにはぜひGIで足を運んでいただき、まるで時が止まったようなレトロな世界が広がる、懐かしくも新しい雰囲気の『豊競劇場』を存分に楽しんでもらいたい。
※イベント予定は変更となる可能性があります。
※来場時は場内ルールに従ってお楽しみください。