2024/12/12(木) 18:00 0 9
今年の顔であり、2025年S級S班所属となる9名の選手たちによる一発勝負。競輪界の一大決戦「KEIRINグランプリ2024」が30日、静岡競輪で開催となる。netkeirinでは並びが発表される記者会見までの9日間、出場選手たちの特徴やグランプリまでの道のりを日替わりでお届けしていく。今回は“元Jリーガーのオールドルーキー”としてデビュー後、わずか3年半でグランプリの舞台に立つ北井佑季を紹介する。(構成:netkeirin編集部)
元Jリーガーの経歴を持ち、全くの自転車未経験から競輪選手を志した北井佑季。119期として2021年5月、31歳でデビューを果たした。“オールドルーキー”として注目を集める中、2年でS級1班まで昇格。「いつタイトルを獲ってもおかしくない選手」と評価されるまでにスピード出世していくが、本人は「上に行くスピードが遅い、時間がかかり過ぎている」と厳しい自己評価を下していた。
そんな折、当サイトの連載コラム「加藤慎平のオニチェック!気になるあの選手のココを見よ!」で北井が取り上げられた。加藤慎平氏はプロ選手としてのサッカー経験が競輪にも活きていると綴っている。一瞬の判断で身体を動かしていく神経伝達能力や適応能力、メンタル面のタフさなどをストロングポイントに挙げており、レース中の「リカバリー能力が高い」と解説した。
また、北井といえば名伯楽・高木隆弘を師匠に持つ。弟子入りした瞬間から厳しい指導を受けながら誰よりも練習に打ち込んだとのこと。高木にインタビューした際に北井のことを尋ねると「自転車未経験で家族もいる状態での弟子入り、厳しくしないわけがない。自分のことより真剣に考えましたよ」と語り、「(取材時2024年4月時点で)近いうちに北井はGIを獲ると思います」と断言していた。高木の予告通り、高松宮記念杯を堂々制覇。デビューから3年で見事GIタイトルを獲得した。
昨年までの北井佑季はGIIIでは存在感を示すものの、GII以上のレースでは決勝へ駒を進められず、苦戦していた。ところが、岐阜競輪で開催された今年最初のGI・全日本選抜競輪では力を遺憾なく発揮し、無傷の3連勝。自身初となるGI決勝へ勝ち進んだ。先行力はスケールアップしており、シリーズで最も注目を集めた選手の一人と言っても過言ではない活躍ぶりを見せた。決勝は南関ラインの先頭を務め、郡司浩平と松谷秀幸と連係。
初手は後方からになったが青板で位置を上げ、赤板で先頭へ。打鐘過ぎに後方から新山響平が主導権を奪いに来るが新山の番手浅井康太が離れており、最終ホームでは新山の番手にハマり、バック線付近で渾身の捲りに打って出た。3角から4角にかけて新山を越えていくも直線で郡司浩平が抜き出し優勝。北井自身は3着となり悲願達成とはならなかったが、S班陥落後50日でS班返り咲きという郡司復活劇に大貢献の一走であった。
そして6月、岸和田GI・高松宮記念杯。決勝は全日本選抜とは並びが変わって郡司が前を務めた。スタートから飛び出して南関勢が前受け、郡司は徹底先行で主導権を譲らない走り。郡司の気持ちに応えるように番手捲りを敢行し、念願の初タイトルへ駆け抜けた。インタビューでは「獲れると信じて臨んだので、獲れて良かった」「自分の力だけでは獲れなかった」と喜びを表すとともに周囲への感謝を述べた。
高松宮記念杯を制することでグランプリへの優先出場権を獲得したが、F1では5度の優勝を誇り、充実の1年を過ごしている。ただし、後半戦は全体的に低調であり、本来の実力発揮とは言い難い成績を並べているのが心配な点。最高の仕上がりを期待したい。
北井の特徴的なレーススタイルは師匠・高木隆弘の厳しいメニューを血肉にした徹底先行。ひとたび先行態勢に入れば、どんな横やりにも屈さずに、そのまま先頭を譲らずにゴール線を切っていく。今年も圧巻の逃げ切り勝ちを多数おさめているが、中でも賞賛の声が高まったレースが3月の松山記念初日特選。北井佑季-深谷知広-和田健太郎の南関ライン、古性優作-脇本雄太の最強近畿タッグ、嘉永泰斗-荒井崇博の九州、新山響平-佐藤慎太郎の北日本の超豪華番組である。
レースは北井の好きにはさせまいとまずは打鐘めがけて嘉永泰斗がアタック、これを突っ張り切るや否や、最終ホームから1センターにかけて新山響平が襲い掛かる。北井はこの新山も出させず先頭位置を堅守。1周のうちに嘉永を凌ぎ、新山を凌ぎ、さらには間髪入れずに最終バックで捲ってくるのは古性-脇本という地獄絵図。しかし北井は出させずゴールへ猛進! 最終的には深谷が交わし、北井は2着となったが、極上の徹底先行で衝撃を与えた。
なお、師匠の高木は「北井本人はそこまで苦しいと思ってやってないと思いますよ。練習で日常的に踏んでいる距離ですから」と語っている。サッカー選手から競輪選手へ転身し、「一流になる」の決意ひとつで上昇し続けた北井佑季。初出場となる大一番で躍動する姿を目に焼き付けたい!
最後に、現在netkeirinで募集中の投票企画「競輪ファンが選ぶ KEIRINグランプリ2024優勝選手」で北井佑季に寄せられたコメントを紹介する。
「北井なら逃げ切りができる、後方からの捲りは郡司がブロック」
「好きな選手なので勝って欲しい!」
「北井に期待、夢を!」
「同じ神奈川県民なので応援しています!」
「日々練習に打ち込んだ姿勢、努力は裏切らない!プレッシャーに負けずに北井らしいレースを応援してます!」
「メンバー的に展開が向くので北井の初出場初優勝だと思う」