閉じる

【武雄競輪】小倉竜二には右側頭部に触覚がある

2021/08/23(月) 13:00 0 9

武雄競輪で開催中のナイター「オッズパーク杯(FI)」。決勝進出を果たした小倉竜二は選手間で“日本一の追い込み選手”と評されることが多い。そんな小倉に追い込み選手としての持論、さらには気になる選手などを語ってもらった。

毎度のことながらド迫力だ

日本屈指の追い込み選手となるまで

 1999年4月からS級1班を務め続け、23歳だった99年11月、そして06年1月の競輪祭を優勝。タイトルからはしばらく遠ざかっているが、ずっと一線級で活躍している小倉竜二。鋭いタテ脚に加え、別線へのブロックも天下一品。ラインの味方からしたら神、相手からしたら鬼とも恐れるほどの日本屈指の追い込み選手である。今年は5月の前橋記念で、17年9月の向日町以来、8回目の記念優勝を飾るなど、獲得賞金は3000万円を突破。ダービーがなかったとはいえ、既に昨年の賞金額を上回る好調ぶりだ。

今年の好調の理由

「全てにおいて無理をしなくなったのが大きい。調子の維持の仕方や、トレーニングのやり方とか、無理をしなくなって安定している感じはある。体のメンテナンスやトレーニングを診てもらっているトレーナーに昨年くらいから完全に任せるようになった。それまではトレーナーと自分で考えてやるのを半々くらいの割合でやっていて、フォームが乱れてしまったり、トレーニング中にケガをすることも多かった。月に2、3回くらいぎっくり腰になることもあった。トレーナーは、しっかりと筋肉を引き出してくれますからね」。

 今でこそ中四国勢は松浦悠士清水裕友町田太我太田竜馬など機動型の成長が著しいが、数年前までは追い込み選手にとって不遇の時代もあった。“生まれるのがあと10年遅かったら…”というフレーズを何回も耳にしたことがある。

吉岡稔真との連係は“財産”

「それだったら吉岡稔真さんとの連係がなかった。吉岡さんとの連係は僕にとっての財産。生まれるのが遅かったら、という思いは全くないです」。

 競輪祭2回のVは、両方とも吉岡マークから。小倉には地区を越えて連係した吉岡稔真氏との関係が強烈に頭に残っている。ラインといえば、小倉から前の選手に対する愚痴などを聞いたことがない。そんな人間性も魅力の一つだ。

「若くして追い込みに変わったから、年上の選手に付くことが多かった。自分は付かせてもらっている。自分は何もやってきていないし、何もできない。自然と言う立場ではないな、と。そういう経験も理由の一つかな。それと気付いたことはアドバイスするけど、感情を出してもあまりね…。年間で何回も一緒になることもあるわけだし、何十、何百走もしていく中で、いちいち言っても自分も持たないし、相手も持たないでしょう。そういう思いはあるかな」。

追い込み選手としての極意

 ここからは追い込み選手としての話題に。まずは、もっとも重要なことは何か。
「うまく追走する。連結を外さずに付いていく。抜く抜かないはその次だね」。

 まずはきっちりと追走を決める。そうしないとブロックすることも、前をかわすこともできない。簡単なようで、これがもっとも重要なミッションでもある。そして話は強烈なブロックについてに。小倉のブロックといえば、かつては海外の選手も「クレイジー…」と嫌がったのを目の当たりにしたこともある。

「昔はむちゃをしていた。こけさせたり、自分がこけたり。失格も多かった。ここ最近は、どうやったら意味があるブロックなのかを分かった上でやれている。意味のないブロックはやらない。今、考えたら、以前はその辺が分からないままやっていたんでしょう。まあそういう時代があったから今があるのかな。以前はブロックすることの方が頭にあったけど、最近はどちらかといえば抜く方に比重を置いている。ブロックはここというポイントだけ。止められたら止める。そんな感じかな」。

小倉竜二と言えば」思い浮かべる代名詞は人それぞれかもしれない。

謎に迫る! 小倉の特殊能力

 冒頭でも無理をしなくなったとあったが、ブロックの仕方においても力が抜けているようだ。これが近況のリズムの良さにつながっているかもしれない。小倉のブロックで印象的なのは、ノールックなのに一発で捲りを止める技術の高さだ。

「長年の経験、そして触覚ですね。音とか感覚。僕、後ろに触覚があるんですよ。目線は前でも、来たらだいたい分かる。触覚のおかげです。どこかって? 右側頭部のあたりですね」。

 強烈ブロック、ノールックブロックの理由はなんと「触覚」。この話題はのちほども出てくる。では相手から恐れられている小倉に、最近の中で脅威、凄いと感じている選手に触れてもらった。

気になる選手は…

「自力選手ではやっぱりワッキー(脇本雄太)でしょう。ここ5、6年の自力選手としては間違いなく一番強い。脚力は日本一。圧倒的なスピードと持久力。普通よりも半周以上、トップスピードが長い。やっぱり、もっとも当たりたくない相手ですね。自在、追い込み選手では古性優作かな。彼のハンドルさばきは日本一。ちなみに古性も触覚があるね。彼は2本あるんじゃないかな。僕は1本だけど。彼が完全に追い込み選手になったら嫌だなあ。あとは松浦悠士も凄い。古性と松浦のヨコのどつき合いを見てみたいね」。

 一目、置く選手として脇本雄太古性優作松浦悠士、現在の競輪界を代表する3人の名前が挙がった。そして「香川雄介さんも自転車について、いろいろとアドバイスをくれる。同世代で同地区の選手にも恵まれています」と意外な交流も教えてくれた。

「強さをもう一段上げる」自己評価は辛め

 これからの小倉竜二についても言及していた。
「今の体重が90キロくらい。100くらいまで行きたいんだけど、なかなか90から先が増えていかない。もうこの年齢なので、ここから強さをもう一段上げるのは簡単なことではない。上を目指しつつ、今の状態をキープすることかな。でも希望はもっと上げたい。それに結果を出すには運も必要になってくると思うし」。

 最後に“小倉竜二は日本一の追い込み選手”ですか? とぶつけてみた。
「うーん、12、3位くらいかな。まだまだです。まだまだヘタなんで。これからも進化したいと思っています」。

 自己評価は辛め。そして、まだまだレベルアップを目指す45歳。今年の後半戦も小倉の「触覚」に注目して競輪を見ていきたい。(netkeirin特派員)


 netkeirinでは車券投票される方全員を対象にしたアンケートを実施中です。抽選で10名様に競輪の軍資金として現金1万円をプレゼント!
 以下よりご回答いただけます。

※外部サイトに遷移いたします。

閉じる

新着競輪ニュース

ニュースランキング

ニュース&コラムを探す

検索する
投票