競輪祭=デッド・オア・アライブ

　競輪祭と言えばグランプリの権利に向けて最後の生き残りを懸けた“競輪バトルロワイヤル”のイメージ。毎年、賞金ボーダーの選手にはお客様からだけでなく、選手からも初日から大きな注目が寄せられ、物凄いプレッシャーがかかります。とにかく勝ち上がっていけなければその場でグランプリへの道が途絶える様相はまさにデッド・オア・アライブ。そして一番の見所は決勝戦で誰が優勝するかによってグランプリ出場選手が決定する、「結果待ちの選手の心境」。

　去年は賞金ランキング9位の新山響平選手が決勝進出かなわず、「SS班継続か否か」に注目が集まった。自分よりランキングの上の選手がタイトルをとれば、グランプリ出場。自分より下位の選手がとれば赤パンを脱がなければいけない瀬戸際にいた。もしも自分だったら…と考えただけでも計り知れないプレッシャー。自分が何か出来ることがあるわけでもないもどかしさを抱えながら、とにかく祈るしかない。

　この状況に耐えられるか？ それを想像しただけでトップ選手の背負っているものの重さと耐えるだけの強靭なメンタルにはただただ頭が下がるとともに、私も「本番やプレッシャーに強くなりたいな」と思うものの、なかなか“ココぞ！”という時に勝ち切れる強さが簡単には構築出来ない自分の弱さを常に感じる限り…。

　そんな中、昨年の新山選手は現地から早々と競輪場を出て新幹線の中で結果を確認する選択をしたというニュースを見ましたが、こういった瀬戸際の選手の心境にスポットが当たるのも競輪祭ならでは。今年はボーダーにいる岩本俊介選手や深谷知広選手を始め、新山響平選手は3年連続のグランプリ出場を懸けている。この競輪祭で運命の分かれ道が決まるだけに大注目していきたい。

小倉競輪バンクの特徴

　屋内型なので気候や天気に関係なく1年中、快適な環境。ドームなのでナショナルチームの主戦場であり、得意としているイメージ。400バンクでカントが34度あり、特に3コーナーは厳しい傾斜になるため捲りが決まりづらくなることも。そして見なし直線が56.9mあるので、2センターからの下りを利用すると外が伸びる傾向にもある。

シリーズ注目選手

◆新山響平選手

　現在、賞金ランキング7位にいるが油断は出来ない。とにかくまずは決勝戦が最低ノルマになりそう。去年は決勝手前で敗退した分も今度は自分の力でSS存続をもぎ取りたいところ。2年前、ここ競輪祭で初のGI制覇を遂げた縁起のいいバンク。ホテルでカップヌードル片手に祝勝会をあげたことも話題になっていた。3年連続の赤パンを懸けて得意な突っ張り戦法を武器に高みを目指す。

◆深谷知広選手

　昨年は共同通信社杯(GII)を制し、賞金でSS班に4年振りに返り咲いた深谷選手。2009年にデビューし、翌年から今に掛けてコンスタントにGIに出場し、強さに衰えが見えない。何気に2014年以来、GIの優勝がなく、そろそろまたタイトルを獲るところを見たい。今年はホームバンクの静岡でグランプリが行われ、郡司選手や北井選手がすでに出場権利を獲得していることも有利に運びそう。去年も競輪祭の決勝に進出しただけに期待値も膨らむ。

◆石井寛子選手

　去年、賞金ランキング7位ではあったが、この競輪祭で圏外から優勝した梅川風子選手の出現により、デビューから一度もガールズグランプリを外したことがなかった記録がついに途絶えてしまった。そんな中、今年は何度も苦しそうな場面を目の当たりにしながらも17回の優勝を積み重ね賞金ランキング6位で参戦。今回はナショナルチームも参加予定とのことで今、賞金ランキング圏外だが圧倒的な力を持つ佐藤水菜選手がいるのは強敵。最後の最後まで熾烈な賞金争いになりそうだが、返り咲けるかどうかに注目が集まりそう。

　さて私も前検日から初日までその熱気溢れる競輪祭に潜入レポートしに行って参ります！ 久々に競輪場前にあるラーメン屋「ぎょらん亭」に行ってみたいなと企んでいたり。めちゃくちゃクリーミーなド豚骨がベースで一口目からインパクト大！ 現地に行く人はぜひ試してみて下さいね！