函館サマーナイトの惨敗があり、精神的に塞ぎ込んでいた児玉碧衣だが、オールスターのドリームは圧巻の走り。小林優香を振り切った姿は阿修羅が乗り移っていた様だった。

「前検日まで不安しかなかった。ただ本番では開き直って楽しく走ろうと。今までは勝たなければいけないという思いが強すぎた。肩の力を抜いたのが良かったのでしょうね」。ここまでは我々とトップアスリートの普通の会話。ここから話は面白くなるのだが、気さくに何でも喋ってくれるのが児玉の人間性の良さ。こちらからも、気を遣いながら本人とその都度確認するが「本当の事だし、何でも書いて良いですよ」。

　先日、出演したテレビ番組『アウト×デラックス』では“金の亡者”の演出。普通ならイメージダウンを避けたいところだが「TV局のスタッフは、お金が大好きな私を撮りたかったと思う。それも事実だし、それに応えるのもプロだと思っているので」。競技に見向きもしないのは、競輪選手としてのプライドの高さ。競輪選手に大手航空会社や大手スポーツメーカーのスポンサーは付かないし、賞金が命。過去にSNSで、エステの詐欺に遭った事を呟いているが「クレジットカードを使い、高い料金を払ったのに、3、4回行っただけでお店は倒産。それから自分の体に投資をしなかった。だけど師匠のお姉さんがマッサージをやっていて、1年ぶりに施術を受けた。それから体が見違えるように良くなったし、自分への投資も必要ですね」。

　オールスターの優勝会見で325万円の優勝賞金の使い道は?　と聞かれ「ダイヤが散りばめている高級時計を買いたい」と話していたが、市県民税を払わなくてはいけないと、泣く泣く断念したとか。中々、ファンには伝わらないかもしれないが、こんなにお高く止まっていない真のアスリートは珍しい。(町田洋一)

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