2021/08/08(日) 12:00 0 8
いわき平競輪場で行われる第64回オールスター競輪はナイター6日制の長丁場。東京五輪を終えたばかりの脇本雄太と新田祐大が過密スケジュールのなか出走するとあって、ファンの注目度もグーンとアップ。優勝賞金4494万円を目指して毎日激しいバトルが繰り広げられそうだ。
今回の勝ち上がりは着順ではなくポイント制となっており、1走目と2走目の合計ポイント1〜9位が準決フリーパスの「シャイニングスター賞」、10〜63位が二次予選に進めるようになっている。当たり前だが、普通の一次予選よりもオリオン賞、オリオン賞よりもドリームレースに出場する選手の方が獲得できるポイントが高く設定されている。
構図としては「世界の脇本」VS「世界の新田」VS「ゴールデンコンビ」松浦悠士-清水裕友という感じだが、主役はやはり輪界最強レーサーの脇本だろう。
全てを出し切った五輪直後でモチベーションの低下が心配されるが、脚は他の選手より1つも2つも上で、走ると決めたからにはしっかり人気に応えるはず。昨年の63回大会は松浦との凄まじい捲り合戦の末、悔しすぎる準優勝だったし、今回はそのリベンジの場でもある。脇本の本業復帰で近畿地区は活気づいており、ジカマークが見込める古性優作や稲川翔は「差せば優勝」と思っていそう。ここのところ苦戦が目立つ村上兄弟も気持ちを入れ直して結果を求める。
松浦と清水の名コンビはその時、その時で前後を変えてくるが、何れにしても番手を回った方が90%以上の確率で1着を取っている。先月行われたサマーナイトフェスティバルは初日も決勝も清水-松浦の並びだったし、今回は松浦-清水となる可能性が高い。中四国地区にはこのダブルエース以外にも戦力が揃っており、町田太我、石原颯の超新星117期コンビには準決くらいまで行ってほしい。小倉竜二、香川雄介の両ベテランも変わらず元気だ。
地元の北日本地区は「五輪のスター」新田祐大が大将格で、佐藤慎太郎、守澤太志のSS好調コンビが両脇を固める。地元ファン一番人気の山崎芳仁に渡辺一成、成田和也など実績のある選手も大勢いるが、みんなピークはとうの昔に過ぎている。他地区に対抗できる先行力を持つのは新山響平くらいで、その新山も直前の高知GIIIで落車しており不安を残す。
関東地区はファン投票1位の平原康多に期待が集まる。5月の練習中落車で左肘を骨折し、復帰戦のサマーナイトフェスティバルでまたしても落車とリズムは最悪だが、今まで何度もこういう試練を乗り越えてきたし、参加する以上は大丈夫と信じたい。6月の高松宮記念杯でアッと驚く優勝を飾った宿口陽一も楽しみな選手で、宮杯以降は責任感も出てきて一回り逞しくなった。スケールアップしている吉田拓矢と共に優勝争いに加わってくるだろう。
南関地区はスーパーエースの郡司浩平が欠場したことで劣勢ムード。深谷知広と和田健太郎のタッグも悪くはないが、脇本や松浦達と比べるとやや見劣る。
中部地区で上位に行く可能性があるのは浅井康太と山口拳矢の2人くらい。旧式大砲の吉田敏洋にも頑張ってもらいたいが、自力ではちょっと厳しそう。
九州地区はエースの山田英明が最近パッとしないので、アフロ頭の山崎賢人が引っ張っていく感じか。すっかり「過去の人」になってしまった中川誠一郎も一発の魅力は十分で、どこかで大きな穴を出しそうだ。
ガールズの方はファン投票1〜7位のメンバーで行われるガールズドリームレースが3日目11R、8〜14位のアルテミス賞が2日目11Rに予定されている。
ドリームレースの主役は絶対女王でファン投票1位の児玉碧衣だが、この間のサマーナイトフェスティバルは7着4着2着と散々な成績。児玉の力が落ちていると言うより、他の選手のレベルが上がっていると言った方が正しそうで、長い間続いた「1強時代」は幕を閉じつつある。児玉と互角の評価は高木真備で、ほぼ勝ちっ放しの数字は素晴らしいの一言。五輪出場の小林優香、賞金ランク1位を独走する勝負師・石井寛子にも注目したい。
2日目のアルテミス賞はサトミナこと佐藤水菜が断トツの存在。ナショナルチームに所属しているため他の選手より出走本数は少ないが、そんな中でも賞金ランキングは7位に位置している。今現在の勢いは児玉や高木より上だし、よほどのことがない限り負けないだろう。(アオケイ・長谷川記者)