2024/07/09(火) 17:00 0 20
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は小川勇介が師匠・吉岡稔真氏の冠レースで見せた感極まる好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
7月7日、小倉競輪のナイターFI「第18回吉岡稔真カップ争奪戦」は最終日を行った。渾身の思いが込められたハンドル投げで優勝を手にしたのは小川勇介(39歳・福岡=90期)。師匠・吉岡稔真氏の冠レースを、ついに優勝することができた。
並々ならぬ思いでシリーズに臨んでいた。吉岡氏は闘病の身であり、弟子としてこの大会で活躍すること、結果を残すことの意味は大きかった。その中で小川は「不動會」の中核人物として、役割が求められていた。
前検日から悲壮感が伝わってくるほどだった。
決勝は町田太我(23歳・広島=117期)の番手を回った。昨年の大会では市橋司優人(32歳・福岡=103期)が頑張ったこともあり「番手を回っても」と伝えていた…義理の男。しかし、市橋は「自分は3番手で」と小川の立場を尊重した。何が求められているかを感じていた。
町田はいったん皿屋豊(41歳・三重=111期)に打鐘で出られたものの、皿屋が裸逃げの形になっていたため、すかさず打鐘過ぎの2センターからは先頭を奪い返した。町田としても後ろに地元の2人を背負っている重みがあった。
町田にすれば普段より航続距離は短めになっており、最後までそのスピードは衰えない。小川の追い込みが、迫る。届くのか…。ハンドルを投げた時の小川の胸にはどんな思いがあっただろうか。タイヤ差、町田をとらえることができた。
表彰式の吉岡氏が登場し、愛弟子小川の優勝に感動するシーンは筆舌に尽くしがたいものがあった。評することなどできないものだが、★5つ最大の思いを小川、そして「不動會」に伝えたい。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)