そつのない仕掛けで初日を制した入江だったが、その表情はどうも浮かないものだった。

「今回から使っているシューズに違和感があって。しっくりこないんです」と新たな武器に戸惑っていた。しかし「かなり高かったし、元を取るためにしっかり使いこなします(笑)。シューズそのものをいじるのは無理なのでポジションをいじって修正したい」と準決以降もこのままでいくという。

　そんな話をしていると、入江の師匠である松尾正人が現れた。今回は同配分で、師匠好きな入江にとっては格好の話し相手だ。

「師匠は若い頃から50歳を過ぎても今と同じ位置に居続けてすごい。自分もああなりたい。S級に行ってビッグに1回でも乗れれば師匠超え、ですね(笑)」と話すと、松尾は「こいつは師匠超えじゃなくて“師匠殺し”なんですよ」と物騒な切り返し。

「平塚で一緒の時はコカされたし、連係してもいつも決まらない。というより決めさせてくれない(苦笑)。相性が悪いのか、一緒のときって、たいがいどっちかが途中欠場するんです」と噛み合わぬめぐり合わせをぼやいた。

　それでも「来期は2班だし、もうオレとレースで走ることはないように」と松尾は弟子に優しく助言していた。入江はまだ22歳と伸びしろは十分にある。師弟で切磋琢磨し、慌てず地道に脚を付けていく。(netkeirin特派員)