アプリ限定 2024/02/27(火) 18:00 0 19
3月5日〜6日、「日本競輪選手養成所125・126回生卒業記念レース」が伊東温泉競輪場で開催となる。今節は5年ぶりの有観客開催につき、一段と注目される卒業記念レースになるに違いない。男女ともにゴールデンキャップ獲得者多数であり、能力の高い選手が豊富に在籍しているが、今回は125回生(男子)に焦点を当てて「今年デビューする候補生のポテンシャル」を考察したい。 (netkeirin編集部)
本記事ではJKAが公表している「日本競輪選手養成所記録」に基づいて、125回生を含めた直近5期生分(117回生〜125回生)の距離別平均タイムを集計した。本題となるタイム比較の前に、117期〜123期の成績上位者を簡単にまとめる。
117期は2023年に日本選手権競輪を制してダービー王の称号を手にしたSS班・山口拳矢をはじめ、寺崎浩平や町田太我、伊藤旭、菊池岳仁といったGI戦線で凌ぎを削る選手が多数存在。2024年2月現在、S級1班に所属する選手は13名、S級S班に所属する選手は1名である。(寺崎、菊池は早期卒業)
119期は先の全日本選抜競輪で決勝進出を果たした北井佑季をはじめ、タイトル獲得も秒読み段階と称される犬伏湧也、ナショナルチームで活躍中の2023年世界選手権・男子スクラッチ銀メダリスト窪木一茂の活躍が目立つ。2024年2月現在、S級1班に在籍する選手は6名である。
121期は2023年小倉GI競輪祭で決勝進出を果たし、年末のヤンググランプリを制した太田海也、太田とナショナルチームで活躍し、昨年のネイションズカップ第2戦のケイリン(エジプト・カイロ)金メダルで、世界選手権では銅メダルを獲得している中野慎詞の存在感が際立つ。
太田、中野ともに2024年ネイションズカップ第1戦(オーストラリア・アデレード)でもケイリンで銀メダル(中野)、銅メダル(太田)を獲得。太田はスプリント種目で優勝し、金メダルを獲得している。またS級1班に在籍する選手は不在だが、グレードレース戦線で躍動するS級2班の選手は増えてきている。2024年現在、S級2班に所属する選手は13名である。
昨年デビューの123期からはまだS級選手は出ていない。そのため、117期・119期・121期と比べて“大型新人”のような突出した選手はいない印象だが、2月20日時点で16名が特別昇班を果たしている。来る松山記念「金亀杯争覇戦」内で行われるルーキーチャンピオンレースには、棚瀬義大、松崎広太、青木瑞樹、長松空吾、篠田幸希、浮島知稀、牧田悠生、山根慶太、黒瀬浩太郎が選出されており、ここからS級・グレード戦線へはばたく選手が出てくることが濃厚だろう。
それでは直近5期の平均タイムを比較してみよう。
期 | 200m | 400m | 1000m | 3000m |
---|---|---|---|---|
125期 | 11''21 | 23''37 | 1'08''73 | 3'56''82 |
123期 | 11''34 | 23''55 | 1'09''98 | 3'58''74 |
121期 | 11''17 | 23''29 | 1'09''05 | 3'57''36 |
119期 | 11''21 | 23''58 | 1'09''14 | 3'58''14 |
117期 | 11''33 | 23''51 | 1'10''03 | 4'02''02 |
(※第1回〜第3回記録会の計3回の平均タイムを算出したもの)
(※118期、120期、122期、124期はガールズ)
直近5期で平均タイムを比較すると、125期は200mTTと400mTTで「2位」、1000mTTと3000mTTで「1位」とタイム的に優秀な候補生が集まっていることは一目瞭然である。加えて1000mと3000mに関しては『歴代期別平均タイム最高記録』を塗り替えているのだ。
前述したとおり、117期〜121期にはすでにS級選手が多数存在しており、中にはGI戦線で頭角を現している選手も点在している。5期分の距離別タイムTOP10を比較してみれば、125期候補生の中で注目すべき選手がわかるかもしれない。デビュー後の車券推理の参考資料になれば幸いだ。
◆200mタイム個人トップ10◆
125回生 | 123回生 | 121回生 | 119回生 | 117回生 |
---|---|---|---|---|
中石湊 10″74 | 梶原海斗 10″74 | 太田海也 10″51 | 犬伏湧也 10″51 | 寺崎浩平 10″33 |
岩本叶馬 10″75 | 黒瀬浩太郎 10″83 | 中野慎詞 10″69 | 山根将太 10″55 | 長谷部龍一 10″66 |
塩島嵩一朗 10″81 | 荒川達郎 10″84 | 村田祐樹 10″72 | 志田龍星 10″73 | 山川奨太 10″79 |
今井希 10″82 | 坪内恒 10″84 | 荒川仁 10″73 | 中島詩音 10″74 | 貴志修己 10″83 |
瀧川幸広 10″85 | 松本京太 10″85 | 安倍大成 10″74 | 上杉嘉槻 10″78 | 青柳靖起 10″86 |
福田健太 10″85 | 西田優大 10″90 | 一丸尚伍 10″74 | 佐藤啓斗 10″79 | 小浦凪 10″86 |
志田愛希飛 10″87 | 佐藤壮志 10″91 | 末廣快理 10″74 | 木村佑来 10″80 | 藤田周磨 10″86 |
小堀敢太 10″87 | 山根慶太 10″98 | 山口多聞 10″75 | 吉田有希 10″82 | 大森光明 10″87 |
川上隆義 10″88 | 保田浩輔 11″00 | 真鍋智寛 10″77 | 木村皆斗 10″83 | 町田太我 10″88 |
森田一郎 10″88 | 篠田幸希 11″01 | 岸田剛 10″77 | 上野雅彦 10″85 | 谷元奎心 10″88 |
ー | 神尾敬冬 11″01 | ー | ー | 鈴木玄人 10″88 |
ー | 稲毛知也 11″01 | ー | ー | ー |
◆400mタイム個人トップ10◆
125回生 | 123回生 | 121回生 | 119回生 | 117回生 |
---|---|---|---|---|
中石湊 22″11 | 稲毛知也 22″19 | 太田海也 22″08 | 犬伏湧也 22″01 | 寺崎浩平 21″99 |
森田一郎 22″21 | 黒瀬浩太郎 22″29 | 真鍋顕汰 22″14 | 山根将太 22″10 | 町田太我 22″29 |
瀧川幸広 22″44 | 梶原海斗 22″34 | 山口多聞 22″17 | 木村皆斗 22″40 | 石原颯 22″36 |
阿部英斗 22″45 | 鳥海創 22″47 | 安倍大成 22″18 | 志田龍星 22″48 | 青柳靖起 22″45 |
福田健太 22″49 | 荒川達郎 22″53 | 村田祐樹 22″22 | 北井佑季 22″50 | 坂本紘規 22″47 |
小堀敢太 22″52 | 望月嘉人 22″54 | 中野慎詞 22″23 | 田口勇介 22″56 | 鈴木陸来 22″63 |
今井 希 22″61 | 内山慧大 22″58 | 大川剛 22″32 | 木村佑来 22″58 | 貴志修己 22″64 |
髙橋舜 22″61 | 棚瀬義大 22″64 | ⾧谷川裕一 22″35 | 梶原大地 22″67 | 山川奨太 22″67 |
志田愛希飛 22″61 | 青木瑞樹 22″68 | 東矢圭吾 22″40 | 福元啓太 22″70 | 小笠原光 22″68 |
塩島嵩一朗 22″65 | 長松空吾 22″73 | 荒川仁 22″50 | 上杉嘉槻 22″70 | 小浦凪 22″78 |
川上隆義 22″65 | ー | ー | ー | ー |
200mTTと400mTTのトップ10を比較すると、ほとんど僅差ではあるが117期の寺崎浩平、119期の犬伏湧也、山根将太、121期の太田海也といった選手は見られない。125期生200mTTで1位の中石湊候補生は117期なら3位、119期なら4位、121期なら5位のタイムである。
◆1000mタイム個人トップ10◆
125回生 | 123回生 | 121回生 | 119回生 | 117回生 |
---|---|---|---|---|
森田一郎 1′05″55 | 荒川達郎 1′06″28 | 村田祐樹 1′04″86 | 山根将太 1′04″99 | 菊池岳仁 1'04.05 |
中石湊 1′05″59 | 棚瀬義大 1′06″75 | 太田海也 1′05″37 | 志田龍星 1′05″77 | 山口拳矢 1′06″18 |
塩島嵩一朗 1′05″76 | 黒瀬浩太郎 1'07″15 | 岸田剛 1′05″42 | 窪木一茂 1′06″06 | 長田龍拳 1′06″29 |
角田 光 1′05″77 | 西田優大 1'07″23 | 末廣快理 1′05″63 | 木村佑来 1′06″21 | 町田太我 1′06″43 |
髙橋舜 1′05″95 | 松崎広太 1'07″50 | 真鍋顕汰 1′05″72 | 犬伏湧也 1′06″39 | 石原颯 1′06″90 |
瀧川幸広 1′06″11 | 篠田幸希 1'07″69 | 荒川仁 1′05″82 | 鈴木浩太 1′06″61 | 下井竜 1′07″15 |
今井希 1′06″13 | 青木瑞樹 1'07″77 | 中野慎詞 1′05″93 | 吉田有希 1′06″67 | 長谷部龍一 1′07″29 |
福田健太 1′06″23 | 保田浩輔 1'07″81 | 治田知也 1′05″93 | 上杉嘉槻 1′06″71 | 青柳靖起 1′07″35 |
志田愛希飛 1′06″42 | 稲毛知也 1'07″91 | 東矢圭吾 1′06″07 | 木村皆斗 1′06″87 | 寺崎浩平 1′07″37 |
久田朔 1′06″46 | 梶原海斗 1'07″95 | 堀航輝 1′06″26 | 上野雅彦 1′06″96 | 梁島邦友 1′07″45 |
◆3000mタイム個人トップ10◆
125回生 | 123回生 | 121回生 | 119回生 | 117回生 |
---|---|---|---|---|
貝原涼太 3′42″90 | 棚瀬義大 3'36″95 | 太田海也 3′41″03 | 窪木一茂 3′38″49 | 町田太我 3'45.79 |
松本昂大 3′44″24 | 松崎広太 3'39″12 | 近谷涼 3′41″78 | 木村皆斗 3'43.48 | 下井竜 3'46.91 |
三木健正 3′44″80 | 青木瑞樹 3'39″38 | 山口多聞 3′44″53 | 山根将太 3'43.51 | 寺崎浩平 3'48.00 |
阿部英斗 3′45″25 | 半田誠 3'44″11 | 岸田剛 3′45″83 | 北井佑季 3'45.46 | 梁島邦友 3'48.46 |
中石湊 3′45″37 | 石川航大 3'46″38 | 後藤大輝 3′46″03 | 石田拓真 3'45.51 | 坂本紘規 3'48.64 |
中村龍吉 3′45″63 | 松本京太 3'47″20 | 東矢圭吾 3′46″32 | 徳田匠 3'45.99 | 村田瑞季 3'49.30 |
久田朔 3′45″86 | 松田昂己 3'47″45 | 安彦統賀 3′46″34 | 菅野航基 3'47.50 | 青野将大 3'49.52 |
西岡利起 3′46″20 | 依田翔大 3'48″38 | 橋本陸 3′46″85 | 新村穣 3'47.52 | 太田龍希 3'50.52 |
森田一郎 3′47″20 | 鈴木康平 3'48″55 | 矢部駿人 3′46″91 | 原井剣也 3'47.82 | 櫻井祐太郎 3'50.79 |
藤田祐大 3′48″12 | 佐藤壮志 3'48″70 | 原田翔真 3′47″37 | 鈴木浩太 3'47.88 | 久田裕也 3'51.73 |
1000mTTと3000mTTのトップ10を比較すると、平均タイムで新記録を更新している125期はハイレベルなタイムが並ぶ。特にスピードに加えてペース配分といったバランス能力も試される1000mTTの10位・久田朔候補生のタイムは123期なら2位、119期なら6位、117期なら5位のタイムである。
全距離別のトップ10を比較してみると「各期の1位選手のように突出したタイムを出す選手は不在」だが、平均値が高く、「全種目でトップ10に入る抜け目のない選手が多い」といった分析ができる。それはゴールデンキャップ獲得者数に見ることができる。
ゴールデンキャップは、200m、400m、1000m、3000mの全ての距離で基準タイムをクリアした候補生のみに授与されるものであり、200mだけが速くても3000mだけが速くても獲得できるものではない。このゴールデンキャップ獲得選手がデビュー後も頭角を現す確率がきわめて高く、その数は黄金世代とも称された121期に迫る人数である。
200mと400mの平均タイムでは121期が1位、1000mと3000mの平均タイムでは125期が1位であり、ゴールデンキャップ獲得者数も同じくらい。すでに121期の活躍ぶりは証明されているため、同等程度の躍進を期待しても良いのかもしれない。
期 | 獲得者数 | 獲得者名 |
---|---|---|
125期 | 13名 | 阿部英斗、中村龍吉、髙橋舜、西岡利起、松本昂大 岩元叶馬、中石湊、山崎歩夢、今井希、角田光 森田一郎、瀧川幸広、塩島嵩一朗 |
123期 | 4名 | 荒川達郎、稲毛知也、保田浩輔、黒瀬浩太郎 |
121期 | 15名 | 中野慎詞、後藤大輝、荒川仁、村田祐樹、室井蓮太朗 纐纈洸翔、治田知也、梅崎隆介、齋藤雄行、東矢圭吾 、岸田剛、真鍋智寛、大川剛、太田海也、山口多聞 |
119期 | 7名 | 志田龍星、渡口勝成、山根将太、木村皆斗、吉田有希、田口勇介、北井佑季 |
117期 | 6名 | 寺崎浩平、山口拳矢、菊池岳仁、青柳靖起、町田太我、坂本紘規 |
さいごに125期生のゴールデンキャップ獲得者の中で200m、400m、1000m、3000mの順位に基づき、最高成績の候補生を注目ナンバーワン候補生として紹介する。200m・1位、400m・1位、1000m・2位、3000m・5位とすべての種目でベスト5に入っている中石湊候補生(19歳・北海道)を注目候補生ナンバーワンとした。
中石候補生は2月21日〜26日にインド・ニューデリーで開催されたアジア選手権トラック2024にナショナルチーム「エリート」で参戦し、チームスプリントで金メダル、個人種目1kmTTで銀メダルを獲得している。競輪だけではなく、競技者としての実績も現在進行形で積み上げている。
125回生の今後のスケジュールは以下のとおり。以下のシリーズを通じて注目選手をチェックして、本デビュー後の躍動を楽しみするとともに、ぜひ車券戦術に活かして欲しい。
【卒業記念レース】
・3月5日〜6日 伊東温泉競輪 ※5年ぶり有観客開催
【ルーキーシリーズ】
・5月3日〜5日 富山競輪
・5月10日〜12日 平塚競輪(ナイター開催)
・5月24日〜26日 函館競輪(ナイター開催)
・5月31日〜6月2日 松山競輪(ナイター開催)