2021/06/14(月) 17:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がGP・GI・GII・GIII・FI・FIIのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
今回は川崎競輪で行われたベテラン選手の好プレーをピックアップ。前田睦生記者の直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
湘南が生んだ名レーサー・高木隆弘(52歳・神奈川=64期)が男の意地を見せた。小畑勝広(22歳・茨城=115期)マークの高木は、攻めに攻められる…。
高木はボクサーの渡嘉敷勝男に似ていることから“トカちゃん”と呼ばれる。
その柔らかい笑顔は親しみしかないものだが、その走りは鬼。残り2周を過ぎ、小畑が先行態勢に入る。内からスルスルと小川賢人(36歳・福岡=103期)が攻めてくる。
「ジャブだ、ホラ右パンチ!おっと左アッパー」
残り1周になると田中誠(37歳・福岡=89期)も外から追い上げてくる。アンコにされた!
競輪では内と外を挟まれることを「アンコ」の状態という。だがはっきり言って、甘くない…。
「フックだ、ボディだ、ボディだ、チンだ」。高木は技術と意地を駆使して、耐える。
猛烈なヒゲを持つ小川と、車に激突しても平気だった田中が両サイドに迫る。さながら関羽と張飛。ペッチャンコになりそうな1センター。トカちゃん、男を見せる。呂布だ! 外の田中をはじくと、内の小川がやや踏み遅れたところを、ちょい締めで位置を確保。
「随分と渋いアンコだな…」。甘党の方々にはお勧めできない走りだ。
小畑に車間が空きかけるも、追いつく最終バック。最後は伸び返してきた田中に差されて3着となるも、52歳が見せたハードファイトに川崎バンクは後楽園ホール、そして虎牢関と化した。3着ということで★3つと少なめにさせていただくが、誰にでもできる走りではなかった。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)