2023/11/07(火) 12:00 0 25
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは清水裕友の偉業を成し遂げた好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
ヒロト、伝説のメロディを刻むーー。
玉野競輪場で代替開催された「防府競輪開設74周年記念 周防国府杯争奪戦(GIII)」は清水裕友(29歳・山口=105期)が地元記念6連覇を成し遂げるという、輪史に残るシリーズとなった。
決勝は犬伏湧也(29歳・徳島=119期)-取鳥雄吾(28歳・岡山=107期)ーヒロトー松浦悠士(32歳・広島=98期)という布陣。別線を選択した大阪コンビと京都コンビがキバをむく。単騎の中本匠栄(36歳・熊本=97期)はとにかく脚をためて、だ。
好プレーの主役は“ヒロト”で古性優作(32歳・大阪=100期)をブロックしたところになる。だが、多くの人が思うだろうが、中四国4人全員の好プレー。4人が仕事を全うする好レースだった。高久保雄介(36歳・京都=100期)の奮闘、古性の強襲をしのぐには4人の力が必要だった。
6連覇の偉業につながった好プレーなので★は5つ。
取鳥が大事な位置を守り切ってからの番手まくり、ヒロトは古性が来ることを想定し、ビタッと体を預けて勢いを殺す。それにしても普通なら大失速しそうなブロックを喰らいながら、張り付いて最後伸びようとする古性は恐ろしい。なまじ、古性にぶつかると跳ね返されることも多いので、丁寧だった。
松浦もヒロトの内を締め切って、直線にかける。戻っている。先頭を譲らなかった犬伏の思いもファンの胸を熱くするもので、「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」決勝からの逆急を訴えるものだった。
そして高久保…。車番構成的にも厳しい中、叩きに行き、取鳥のヨコで勝負し…と根性を見せつけた。別線を選んだ古性は同期。今年、夏ごろには「俺の方が先にいた感じなのに、すごいところまで行ってしまった。メチャクチャすごい選手になって」と古性を尊敬しつつ、悔しい気持ちも吐露していたもの。
近い時期にS級に上がった2人だが、華やかに名前を売り出したのは高久保が少し早い印象。あっという間に遠いところに行った古性だが、その背中を追いかける戦いをあきらめずに感じるものがあった。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)