2023/09/04(月) 17:00 0 2
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは天下を獲れる男と称された太田竜馬の気持ちに応えた好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
向日町競輪場の開設記念「平安賞」といえば、地元京都勢の並々ならぬ思いが爆発する、熱狂と緊張が渦巻く独特なシリーズだ。そんな戦いの真っ最中の2日、開催3日目の準決10Rで“平安賞らしい”好プレーが披露された。
主役は少し低迷している太田竜馬(27歳・徳島=109期)だ。
高校時代から、『天下を獲れる男』として順調に上がってきたものの、現在は壁に当たっている。しかし、この準決は「竜馬はやる」をまた思い起こさせるものだった。
番組が発表になった時「い、意外でした」と驚いたのが、後ろに付くのが地元の村上博幸(44歳・京都=86期)と川村晃司(47歳・京都=85期)という構成だったことだ。驚きながらも、緊張と責任が胸にあふれ、それをレースで見せ付けた。
お互いの気持ちを感じ取り、心で走るのが平安賞の真骨頂。太田は「かなり緊張した」とのことだったが、別線の動きを冷静に見つつ、それでいて自分たちのラインでレースを支配すべく、打鐘前からは躍動していた。
「気持ちですでに踏んでいる」。
ラインで先頭に立ったことが今回のシンプルな好プレー。ラインで、を意識しながらも先頭に立った瞬間に緩めたくなるのも心情としてある。今回も林慶次郎(26歳・福岡=111期)が、かなり踏んでいる上を叩きに行った。だが、ライン全員が出切れるように踏んで、別線が来られないペースを維持する。脚力はもちろんだが、心が伴っていないとできないものだ。
★3つの好プレーは、競輪の基本を思わせてくれた。村上は「自分たちの気持ちが太田君に伝わっていたみたいで、そういうのがうれしかったですね」と、3人で決勝進出となったレース後に話した。
平安賞、やっぱりいいな…と思った。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)