2023/06/25(日) 21:45 0 90
「走らせてもらえるなら、まだまだ走りたかったな」と本音を明かしてくれたのは、ガールズ1期生・門脇真由美だ。門脇は代謝制度により今期での引退が決まっており、今開催がラストラン。
門脇は高校から自転車競技を始め、卒業後は実業団の道へ。そこで出会った指導者に声をかけられ、練習拠点を大阪に移すと「アトランタ五輪出場」を目指して練習に励んだ。
「結果的にオリンピックの夢は叶わなくて、橋本聖子さんが出場した。それが22、3歳ごろだったかな。まだガールズケイリンもない時代だし、目標がなくなって28歳の時に自転車を辞めた。その後は目的もなく、大阪に残ってフラフラと。アルバイトや介護職をやりながら生活していました」
一度は離れた自転車だが、ガールズケイリン復活を知った指導者が門脇の背を押した。
「私はずっと断っていたんですよ。でも『やれ、やれ』と言われ続けて。だって、それまで1kmとか一人で走る種目しかやってきていなかったし、集団で走れって言われても“無理、無理〜”って(苦笑)」。
10年間のブランクを経て、ガールズ1期生として第2の自転車人生がスタート。
「今だからぶっちゃけますけど“1期生だし、(競輪学校には)受かるだろう”って。でも、ブランクもあったのでキツかったです。当時は38歳で、介護の仕事をしながら試験に向けて練習。夜勤明けでそのまま練習ってこともあったなぁ」
約11年の選手生活、ずっと大事にしてきたこととは。
「危ないレースをしないように、そこは意識していましたね。振り返ってみても、あっという間の選手生活。印象に残っていることですか?思い浮かばないぐらい、本当にあっという間でした」
残り2日間、どんなレースをしたいか尋ねると「自力を出したいけど、やっぱり脚が落ちてからは難しい。最後の最後まで諦めずに必死にやってきたけど、代謝は決まった制度なので仕方がない。でも、選手を続けられるのなら、まだまだ走りたい。悔しいなぁ」と率直な思いを口にする。
「レース後に『サイクリングなんかしているなよ』とか、そういった声もお客さんからあったけど…。選手である以上は“1つでも上の着を、1車でも交わさなくちゃ”って懸命に走っている。選手、みんなそうだと思います」
その思いを胸に、最後の最後まで門脇は懸命にペダルを踏む。(アオケイ・八角記者)