2023/05/02(火) 10:01 0 21
平塚競輪場で2日から開催される「第77回日本選手権競輪」通称“ダービー”。過去2年で万車券が103本飛び出しており、万車券発動率は他の6日制GIと比較して約1.4倍にものぼる! なぜかくもダービーは荒れるのか、どうしたらダービーで万車券が取れるのか、“穴党競輪芸人”でおなじみ競輪小僧さんに“ダービー万車券の秘密”を検証していただきました。(netkeirin編集部)
ーーまずは競輪小僧さんの過去のビッグヒット(2021年松戸G3で90万4240円の払戻)、どうしてこの大万車券を取れたのですか?
このレースは地元選手の矢口選手と岡本選手のラインだったのですが、実はこの二人、2日目にも連係していたのです。そのとき、矢口選手が得意なカマシを打ったのですが、岡本選手と離れてしまいました。なので、今度は矢口選手の優しく踏む“抑え先行”になるであろうと読み、番手の岡本選手に期待していたんですね。3車ラインの石井選手を出させないで、野口選手のまくりも誘発させない仕掛け。矢口選手と岡本選手が33バンクに慣れていたのもありますし、期待していた通りのレース展開になってくれました。
車券が取れた一番の理由は矢口選手と岡本選手の心理を読めたところですよね。2日目に起きた連係ミス。「悔しかっただろうな〜」と、選手に感情移入をしていたことだったと思います。私の勝手な思い込みかもしれませんが(笑)。
つまりですね、開催4日間の全レースを深く見るのはもちろんですが、その選手がその時どういう心境だったのか、選手になりきって展開を推理することがとても大事だと思っています。まあ、9割5分間違っちゃうんですけど(笑)、でもこのレースみたいに開催2日目に車券をはずしてしまったことが最終日に活きてくることもありますので、“選手心理”を読み、“開催の流れ”を読む、というのが穴車券的中の近道だと思っています。
6日制GI | 万車券本数 | 10万車券本数 |
---|---|---|
ダービー | 103 | 13 |
競輪祭 | 75 | 6 |
オールスター | 73 | 8 |
※2車単と3連単のみ集計
ーーなぜダービーは万車券が多いのでしょうか。
そもそも特別(G2レース以上)は荒れる傾向があります。記念(G3レース)は地元の選手に注目するのが良いと思いますが、特別ともなるとそこまで地元の選にこだわらなくても良い。ビッグレースは出場する選手全員が強いので、番組の特性としてラインがうまく整わなくて細切れ戦になりがちです。ダービーにおいては一次予選から日本有数の強豪選手同士がぶつかり合うため、けん制し合う展開になりやすく、波乱が多いのだと思います。
ーー昨年のダービー10万車券のレースを振り返っていただけますか。
■3連単 274,730円初日7R 一次予選
1着 ⑥久米康平(先頭)
2着 ③野田源一(先頭)
3着 ⑦山崎芳仁(2番手)
ダービーに限らず特別(G2)以上の一、二次予選はライン決着が少なくて、力のある選手同士で決着することがよくあります。特別以上ですと、実力が拮抗しているので、展開も激しいですし、乱打戦になりますから。
初日7Rの場合は人気を集めていた山崎選手が前をかばってしまい3着に敗れたわけですが、まさに自力のある実力者同士久米選手、野田選手の決着、「自力×自力」による波乱パターンとなりました。
ーー阿部拓真選手がシリーズで二度単騎で10万車券を演出していました。
■3連単 193,220円 最終日2R 一次予選
1着 ⑥阿部拓真(単騎)
2着 ⑧末木浩二(3番手)
3着 ①香川雄介(2番手)
■3連単 281,000円 3日目1R 一般
1着 ⑧山口泰生(3番手)
2着 ⑦佐々木豪(先頭)
3着 ⑥阿部拓真(単騎)
自力を出せる単騎は要注意です。3日目1Rの車券を取る近道は阿部選手のマルチだったかもしれませんね。阿部選手は自力はもちろん、自在に動けますから、もともと単騎が合う選手なんです。
阿部選手のすごいところはレースの流れが見えているところですよね。最終日2Rなんかは町田選手、黒沢選手、佐々木選手と強力な自力選手が3人いる中で黒沢選手が逃げると読んでその先行ラインの後ろ3番手にすっぽりとおさまっていましたから、位置取りが上手で自在性があるというのもポイントです。
単騎のメリットは先行ラインの後ろを取りやすいところです。で、その先行ラインの番手選手のタテ脚があるのであれば、その選手と単騎の選手の折り返しで決まることがよくありますので単騎を狙うときはその組み合わせを狙ってみてください。
ーーラインの3番手の選手が1着になって10万車券に絡むパターンというのはどういう時ですか。
■3連単 404,700円3日目4R 一次予選
1着山下一輝(3番手)
2着高久保雄介(先頭)
3着橋本強(2番手)
3番手の選手を頭で買うケースは二つあって、前を走るのが他地区の選手のときか、タテ脚がある選手のときが多いですね。
3日目1R1着の山口選手は伊原選手とは中部と近畿。友好的なエリアですが、厳密には他地区ですからこのパターンに当てはまりますね。3日目4R1着の山下選手は自力に転向して番手、3番手をやり始めてたときでしたし、最終日2R2着の末木選手ももちろん自力も出せるタテ脚型で、このときは3番手をまわっていました。
ーーこうした荒れるレースを見極めるにはどうしたらよいのでしょうか。
いくつかありますが、大きく二つ申し上げますね。人気を集めた選手が狙われるケースとまくり一辺倒の選手が人気を集めたときです。
狙われるというのは、そのレースに出走している強力な先行選手に対して他のラインが先行選手の持ち味を封じてしまうということです。
その先行選手を後ろに置いて、他のラインが先まくり、先まくり、先まくりと打たれたら、いくら強力な先行選手でもどうすることもできません。単純に2対7とか3対6とか数的不利が起きてしまうので。最強の脇本選手クラスともなるとそれを乗り越えてきちゃうのですが(笑)、狙われそうな強力先行選手がいたときは疑ってみてください。
もうひとつはまくりの選手が人気になったときです。前の選手の位置取りが良い場合、ペースが速くなった場合など、どうしてもまくり一辺倒ですと展開に左右されやすくなってしまいますから。今年のダービーには出てこないですが、イメージとしては北津留翼選手、中川誠一郎選手のようなタイプ。とてつもなく強い選手なのですが、展開次第で不発になるケースも散見されます。新田祐大選手も昔はこのタイプでしたが、最近は走りに幅が出てきたので人気に応えるケースが増えてきました。
ーー長丁場ダービー6日間の車券戦略はどうしたらよいのでしょうか。
今年のダービーも初日から荒れると思います。初日、2日目は同じスタンスでいいです。番組は後半に軸を置いてくるはずなので、傾向としてはオープニングの1レースと特選、特選前の2レースはカタめに落ち着きやすいですね。なので、それ以外のレースでどれだけ穴車券をひっかけられるかがダービーのカギを握ります。
3日目以降の車券の戦い方は、勢いのある若手自力選手を買うべきです。やっぱり後ろの選手がラインで(先行選手と)一緒に勝ち上がりたい、一緒に準決勝へ進みたいという気持ちが強く働くからですね。また、1、2日目で勝ち上がれなかった負け戦でも、3,4日目でしっかりと1着を取っておきたい自力選手が多いと思うので狙い頃だと思います。
余談ですが、初日、2日目に負けすぎてしまった方は、3、4日目休むというのもひとつの手ですね。いったん頭を冷やして、“ケン”することも肝要かと。そして5、6日目に戻ってきてください。私もこのパターンをよくやります(笑)。
その5、6日目の負け戦は穴党の出番です。全選手の状態の見極めも出来ていますし、とくに前半で連係を失敗した選手たちがしっかりと巻き返してくることが多いので穴車券を出すことが多々あります。5、6日目は早起きして勝負した方がいいですよ(笑)。後ろの選手の差しや追い込みも決まりやすくなっていると思います。
ーー最後に10万車券をとるにはどうしたらよいでしょうか。
これは非常に難しいのですが、とある穴党の方が「一番人気の選手が走ってないと仮定する」ところから予想を組み立てるのが良い、とおっしゃってました。その人気のラインがいなかったと仮定すると(G3以上だと)9車じゃなくて7車じゃないですか。「もし7車だったらどう組み立てる?」と考えると穴が見えてきます。なかなかそれを実行する勇気はないですが(笑)、こうした思い切った考え方を持てば10万車券に近づくのかもしれません。
めざせ10万車券! 穴党芸人『競輪小僧』の予想は「ウマい車券」で見ることができます。