2023/02/28(火) 10:00 0 10
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは25日に行われた「読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)」の準決勝で脇本雄太が見せてくれた魂の走りです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
高知競輪のGI「第38回全日本選抜競輪」の3日目、2月25日の準決12Rは脇本雄太(32歳・福井=94期)に大きな注目が集まった。2日目のスタールビー賞でよもやの9着。体の状態が気にされ、準決でどんな走りになるのか…。
相手は明らかに動きのいい清水裕友(28歳・山口=105期)と、常に脇本に闘志むき出しの走りをしてくる眞杉匠(24歳・栃木=113期)。この三分戦は楽ではなかった。
前受けから下げた脇本を、眞杉は中団で大きく車間を切ってけん制する。隙はないようにも思えるが、脇本の心が反応した。体というより、GIの準決という究極の場面で、後ろの2人と一緒に決める走りを披露した。
眞杉が踏み込むより先に、そこには距離など関係なく、行けるところがすべて…の仕掛けだった。古性優作(32歳・大阪=100期)の援護も受け、3番手の浅井康太(38歳・三重=90期)と3人で、決勝の切符をつかんだ。
無理をすれば、体の痛みは増すことは明らかな状況の中で、競輪そのものに立ち向かった好プレー。★は、ワッキーからすれば普通なので3、としたいところだが、体の状況を考えれば4つだろう。
「競輪とは戦うこと」。
戦わない、というウソのような作戦も功を奏することもあるくらい、複雑なゲーム。競輪を生きているワッキーを、その走りを見られることに感謝したい。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)