そのレースは今から10年前の高知記念の初日特選だった。所謂、追走義務違反で、過度牽制があり、ジャンで先頭に立っていた中村一将を除く8名が失格。その中に武田豊樹も根田空史も含まれていた。

　根田空史は「自分が4か月の斡旋停止で、武田さんはそれより重い5か月のペナルティーだったと思う(武田豊樹が根田空史を過度に牽制して、起因を作ったと言う理由)。その4か月間は、無収入だったけど、他にやる事もないから練習しかやらなかった。後は気分転換にアマチュアのロードレースの大会にも参加した。まさか、特別競輪のこの舞台で一緒になるとは何かの縁ですね(苦笑)。そんな話を覚えているファンや関係者の皆さんもいないのでは」。

　その後も武田豊樹は大活躍して、関東の指令塔の立場になった。人に歴史がありだが、どんな困難にぶち当たっても、それを跳ね返すのが超一流のアスリートだ。(町田洋一)