2023/02/07(火) 17:00 0 13
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは4日に行われた「春日賞争覇戦(GIII)」の準決勝で新田祐大が見せてくれた競輪界のトップ選手として諦めない好プレーです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
奈良競輪の「春日賞争覇戦(GIII)」の3日目、2月4日の準決12Rで古都・奈良バンクが震えた。そしてその衝撃波は全国、世界に及んだ。新田祐大(36歳・福島=90期)の 慟哭が響き渡った。
先行態勢に入った中井俊亮(30歳・奈良=103期)を打鐘から巻き返す。“事故”が起こったのはその直後。
嘉永泰斗(24歳・熊本=113期)のけん制で、完全にバランスを崩した新田は金網間際まで吹っ飛んでしまう。
並の精神力なら、このまま“眠れる獅子”となり、後方不発の形勢だ。離れた眼前の8人の姿。追いついたとて仕掛けられるかどうか…。
しかし、動き出したドラマの主役は新田。「ヤバイ!」。
もはやパニック状態の中だったが、S班として人気を背負っている責任感はペダルを回し続けた。最後方から轟然(ごうぜん)と踏み上げ、1着ゴール。白虎の姿にファンは大声援を送った。
脇本雄太(33歳・福井=94期)、平原康多(40歳・埼玉=87期)、古性優作(31歳・大阪=100期)がシリーズを脱落する中、競輪界のトップ選手としてあきらめない走りでファンの胸を叩いた。
伝説の激走はもちろん★5つ。破壊的な強さを見せる新田の真骨頂が大逆境で噴火し、歴史の1ページを生んだ。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)