2022/10/10(月) 08:15 0 11
後編では合志の競輪観や強い選手に通ずるもの、成長に大事なものについて語った内容をお届けする。(アオケイ・八角記者)
ーー背負っているモノの“違い”とは?(前編の続き)
合志:前の選手を庇うことばかりに意識がいってしまい、後ろの3番手にまで気が回らない人も多い中で、義弘さんは違った。ラインで決めるって、何もワンツーだけじゃない。3人ラインだったら、ワンツースリーまでだからね。
確かに、一番前の選手がキツいので番手が庇うのは普通なんだけど「この展開ではもう前は厳しいかな。だったら、後ろ(3番手)にチャンスがあるように」って、次は後ろのことを考えて切り替えないと。難しい判断だけど、それが番手を回る人の責任だと思う。そういった意味でも、義弘さんは責任感が強い選手でした。
ーー7車立ての影響を含め、最近の競輪について感じていることはありますか?
合志:競輪道的なものが崩れていっているように感じる。自力と自力で並ぶことも多くなっているし。自力同士、前で走るキツさや気持ちが分かるので、庇いたいと思う気持ちは当然なんですけどね。
でも、3番手を回るってどれだけ難しいことか分からんやろ? って。番手よりも3番手のほうが難しい。だから、追い込み選手にシフトしていく選手は番手じゃなく、まずは3番手を経験して番手に上がっていったほうがいいようにも思う。番手に回ったときに、こうしたほうが3番手はいいとかが分かるので。
番手の位置を回るためにも順序を経て、積み重ねていけば、自分の中で何か崩れたとしても修正は効くから。何においても、そうじゃないですか? 段階をすっ飛ばしていったらダメだと思う。
ーーラインそれぞれの役割を理解することが、いかに重要か…。
合志:ラインの3番手の大事さが分かってくると競輪が見え出してくる、客観的にね。敵にしても3番手が弱かったら、そこって狙いどころになるじゃないですか。別線のラインを見るときに、まず僕は3番手を見る。番手もそこそこだけど、3番手も抜け目がないラインは凄くパワーが増しますよね。
いくら脚力があっても隙があれば、そこを狙ってドン! と行けちゃう。競輪はいかに隙を作らないか。脚力が拮抗すれば、相手は隙を突こうとする。 力がズバ抜けていたら、ワッキー(脇本雄太)みたいにドーン! と行ってもいいけど、そうじゃないなら相手の隙を狙う。その隙を逃さないようにするのが大事。
隙を突ければ自分よりも格上の選手が相手でも戦える、それが競輪。
ただ、トップにいる選手はなかなか隙を見せてくれないね(苦笑)。
ーー強い選手に通ずるものは何でしょうか? また、強くなるためには?
合志:言い方は悪いけど、下にいる選手は隙をいっぱい作って負ける要素を自分で作ってしまっている。上のクラスにいる選手は早い段階、早い年齢で弱点や課題に気がつく。誰から教えてもらうこともなく、自分で気がついて強くなるんです。
言われてもできない人、言ったらできる人、言われなくてもできる人の3つに分かれる。話を素直に聞ける人、言われたことをスーッと受け入れることができる人は強くなっていく。
若いときって、言われたことに対して反発したくなるじゃないですか(笑)。デビューして目標があって「俺はやれるぞ」という自信に満ち溢れている。「後々こうなるよ」と見えない先のことを言われても「いや、そんなことないし」ってなる人は大体、成長がもたついていますよね。
一回は自分の中で受け入れて、噛み砕いてから物事を判断するのがいいんですけどね。最初から壁を作ってしまう人が多い気がする。勿体ないよね。
競輪でも、仕事でも何でもそう。成長するのに“素直さ”は大事ですよ!