2021/04/22(木) 12:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がGP・GⅠ・GⅡ・GⅢ・FⅠ・FⅡのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
4月は多くの好プレーが誕生しています。今回は涙なしにはいられないあの好プレーを紹介します。 前田睦生記者の直筆解説と一緒にご覧ください。
近藤幸徳(57歳・愛知=52期)がホームバンクを走る最後となるレースだった…。
山中貴雄(44歳・愛知=79期)が前を走り、城木健治(32歳・愛知=95期)が後ろを固める。5車立てで、相手は長田彰人(35歳・宮城=95期)ー高浜裕一(49歳・宮城=69期)の宮城ライン。
名古屋では引退レースで爆裂の完全Vを飾った林巨人(37歳・愛知=91期)さんの熱い走りがあったばかり。
今回“も”…だった。
近藤幸徳は、龍徳(30歳・愛知=101期)の父としても知られるが、自身もGIIの決勝にも乗り、通算500勝を超えている名レーサーだ。
すべてのレースで持っている力を出し切ることが生き様。自力で戦う時は、“挑む”この言葉一つだった。
古くに肝炎を患い、選手生活は病気との戦いでもあった。生きることそのものが、競輪人生だった。
誰もがそれを知り、愛知の選手にとってそれは、尊敬の言葉以外にないだろう。
早朝練習の鬼で、名古屋競輪場の朝は近藤幸徳がカギを開けるところから始まるという。
しかし57歳。1983年の9月デビューから、おそらく今年の6月一杯で選手を引退するというところまできた。地元のファンの前で戦う最後のレース。山中が、駆ける。44歳、この男も、選手引退かも…のケガを乗り越えた一人。
雨に、風に、立ち向かう。
3番手の城木が後続を渋くけん制。愛知ラインが、雨の中、輝く。直線に入り近藤が踏み込み、山中に並びかける。近況の近藤は集団から遅れてゴールするケースも多く、状態としては厳しい。差し切るのは難しいか…と思われたゴール前…。
がむしゃらにもがき続け、あがき続けた先には1着のゴールがあった。通算516勝目。万感の38年と愛知勢の絆に★4つ。
すごいで賞=星★★★★☆