2025/06/15(日) 22:00
2月の全日本選抜競輪、5月の日本選手権競輪に次いで、今年3開催目となるG1「第76回高松宮記念杯競輪」が6月17日から22日まで岸和田競輪場で開催される。
トップレーサーが東地区、西地区に分かれ、決勝で初めて相対する唯一無二のG1戦。2023年に4日制から6日制に変更、さらに初日から3日目はポイント制での勝ち上がりが採用されたことにより、優勝までの道のりは、より総合力が問われることに。今回も初日から3日目まではガールズケイリンのG1「第3回パールカップ」が同時開催される。
2025年も、まもなく折り返し。最高の形で後半戦に弾みをつけるのは!?
◆初日の出走表(17日更新)はこちらでチェック
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近畿勢が地元タイトル奪還に燃える
昨年10月の寛仁親王牌から今年の3月のウィナーズカップまで、ビッグレースは古性優作と脇本雄太が交互に優勝を重ねていた。5月の日本選手権競輪を吉田拓矢(茨城)が優勝したことで、両者のVラッシュは5開催で止まったが、今開催は近畿地区開催の高松宮記念杯競輪。東西に分かれる勝ち上がりとはいえ、22年、23年は古性優作が連覇しており、昨年は北井佑季が優勝している。地元地区のG1タイトル奪還へ、近畿地区が今まで以上の力を発揮しそうだ。その中心は、もちろん古性優作と脇本雄太のSS両者が担うだろう。特に古性は今年これまでビッグレースは3開催オール優出、5月の全プロ記念競輪でもスーパープロピストレーサー賞を制しており、GP覇者として大会3回目の優勝&通算50Vを地元岸和田で決められるか。
グランプリスラマーの脇本雄太は、すでに全日本選抜優勝で今年のグランプリ出場権を獲得しているアドバンテージは大きいが、近況は成績の波も大きい。あれほどの自力戦を繰り出すのだから、最上級の警戒をされるのは必定なのだが、どう打開していくか。もちろん自力戦だけでなく、寺崎浩平をはじめとする同地区の自力型の成長も著しい近畿地区で、あらゆる局面での対応力もより問われるだろう。東西に分かれる勝ち上がりなので、例えば大阪、福井で別線勝負の可能性もあるが、それもファンにとっては高松宮記念杯だからこその楽しみの一つだ。
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中四国が勢いを取り戻すか
平原康多の引退により、松浦悠士のS級S班へ追加選出が先日発表された。この級班の適用は今年7月1日からなので、今開催はS1での出場となる。
清水裕友は4月高知記念で犬伏湧也を差し切り優勝したものの、なかなか本調子を取り戻せないでいたが、宇都宮記念では久しぶりの好感触。本来の攻撃的な仕掛けも随所でみられており、この復調が地区の勢いにも大きく波及する。日本選手権では二次予選で失格に終わっただけに、今回のG1でしっかりと巻き返したいところだ。
犬伏は4月からS班に追加選出されて、ここまで5戦を経たが、ビッグヒットは無し。S班として見えないプレッシャーはもちろんあるだろうが、持ち味である思い切りのよい豪快なレースで再びタイトル戦線を大いに賑わせたい。
S班入りが決まった松浦だが、宇都宮記念の準決勝で落車してろっ骨を骨折。そのあとの全プロ記念競輪と別府記念を欠場している。落車禍を乗り越え、ようやくの復活劇が期待された矢先のアクシデントだったが、今回はコンディション面も含めて、復帰戦となるG1戦にどう対峙していくか注目が集まる。
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中部や九州も存在感を強めるか
中部は浅井康太、山口拳矢らがリードする。浅井は5月日本選手権で巧みなコース取りと鋭い差し脚で好走を連発。決勝は7着に終わったが、シリーズを通して存在感を改めて示した。直前は函館F1を優勝。道中は最後方になるも、最終2コーナーから自力発動で捲りに出ると、前団を飲み込んで見せた。今の脚勢から7年ぶりのG1優勝があっても、何ら不思議ではない。
山口も6月の四日市F1戦を完全優勝して、G1戦に挑む。この四日市決勝は最終2センターまで最後方で、直線で大外一気に鮮やかな差し切り優勝を決めている、今年の前半戦は負傷で出遅れたものの、ここからビッグレース戦線での巻き返しといきたい。他地区に比べると、地区的な勢いはやや劣るものの、それをも打破する走りで再び表彰台の頂上を目指す。
高松宮記念杯が好相性の山田庸平も侮れない存在だろう。22年には準優勝、6日制となった23年も決勝進出(5着)している。5月武雄のミッドナイトG3では九州結束から地元G3優勝を果たしたが、6月の宇都宮F1では準決勝5着敗退で欠場しており、ここまでにどう態勢を整えてくるか。近況のビッグレースでは優出漏れが続いているが、2月のウィナーズカップはシリーズ3勝、日本選手権でも2勝をあげており、狙いすました切れ味抜群のタテ攻撃で、優勝争いに加わっていく。スピード非凡の山崎賢人、ベテラン健在の荒井崇博ら九州勢の一撃は、今開催も侮れない。
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平原引退後の新しい関東勢の形
東地区は、関東勢がリードか。5月の日本選手権では、眞杉匠の番手から吉田拓矢が差し切り初のダービー王の栄冠に輝いている。S班・平原康多の引退による衝撃は大きいが、受け継いできたもの、そして新たに目指していくものを、新世代の関東勢が構築していく。
眞杉匠は今年のビッグレースは全て決勝に進出。現段階で、オール優出は眞杉と古性のふたりしかいない。近況は宇都宮記念で失格、全プロ記念の時もペダリングを課題に挙げ、取手記念は準決勝敗退とリズムは悪いが、関東のニューリーダーとして大舞台で強さを発揮する。
吉田拓矢も乗れており、全プロ記念の初日も眞杉マークから鋭く伸びて1着取り。地元記念の決勝はラインの先頭で真っ向勝負に出て敗れたが、ダービー王のG1連続優勝に期待は高まる。
関東は他にも眞杉と同期の小林泰正、森田優弥や、坂井洋、佐々木悠葵、追い込み型では武藤龍生ら楽しみなメンバーがそろう。
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南関東勢は組み合わせの妙がありそう
東地区は北日本、関東、南関東の3地区、西地区は中部、近畿、中国、四国、九州の5地区から構成されている。東西に分かれた時、東は3地区のみのため、必然的に地区同士の対戦も増えることになる。
南関東勢の中心的存在は、郡司浩平、岩本俊介、深谷知広の3者だろう。普段は好連携を見せているが、それぞれ神奈川、千葉、静岡所属のため、当然メンバーによっては別線勝負となる可能性もあるだろう。
郡司浩平は6月の取手記念を松井宏佑の仕掛けに乗って優勝。今年すでに5回目のG3優勝となったが「G1、G2ではレベルが上がるので、そこでいかに勝負できるか」を今後の課題に挙げていた。神奈川は郡司を筆頭に、初タイトルを狙う松井宏佑、5月宇都宮記念優勝の小原太樹に、和田真久留や松谷秀幸ら強力な布陣ができるのは強みだ。
岩本は日本選手権で優出(8着)などコンスタントにグレードレースで決勝にコマを進めている。番組的には番手回りも多いが、別府記念の二次予選は逃げ切りで1着など、自力戦、番手戦ともにこなしている。今回もラインの役割を全うして、上位争いに加わる。
深谷は練習中の膝の負傷で本調子に欠いていたが、別府記念で準決勝1着を取り「調子は悪くない」。さらにここまで調子を整えて、強じんな自力戦でファンを魅了する。
個々の強さはもちろん、郡司と深谷の前後など連携バリエーションが多いのも強みになる。昨年は南関結束から優勝者が出ており、今年も要注目だろう。
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北日本勢は新山響平が今回もキーマン
S班の新山響平は3月ウィナーズカップ決勝で先行3着、日本選手権の決勝も先行して6着。今年ここまで優勝には届いていないが、6月別府記念も先行して、連携する守澤太志が優勝、自身も2着に粘ってワンツー決着を決めるなど、やはり新山がレース展開の鍵を握っている。全プロ記念競輪の初日は郡司浩平が新山と主導権争いで、共倒れしており、他地区にとっては脅威でしかない。他地区に比べると、今開催の北日本は自力型の層が薄めの印象が否めないが、中野慎詞や高橋晋也らが勝ち上がれば、一気に戦力はアップする。
そこを復活の期待かかる佐藤慎太郎、日本選手権の決勝や別府記念の初日にも新山と連携している菅田壱道らが後位を固める。追い込み陣から、成田和也にも注目したい。4月熊本F1は新田祐大を差し切り優勝、5月川崎F1では新鋭の山崎歩夢との連携から優勝。また取手記念の準決勝では最終バック9番手になるも、「余裕はあったかも」と直線でうまくコースを突くと、鋭く伸びて2着で優出を決めている。差し脚もさることながら、好気配を感じさせる名マーカーの技は必見だ。
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◆第3回パールカップ!ガールズも東西別の勝ち上がり!◆
初日から3日目にかけて行われるG1パールカップ。
2023年新設されたガールズケイリンのG1で、今年で3回目。高松宮記念杯と同じく、東と西に分かれて予選、準決勝をおこない、勝ち上がった7名により決勝が争われる。
初日は第5レースから第8レースにかけて、東西各2レースずつ予選を走り、1着から3着と4着から1名が、それぞれ東西の準決勝に進む。
2日目は第11レースでガールズ西日本準決勝、第12レースでガールズ東日本準決勝をおこない、こちらも各1着から3着と4着から1名が決勝へと進出する。
まず東地区から見ると、佐藤水菜が抜けた存在だろう。今年4月岐阜のオールガールズクラシックで優勝し、すでにグランプリ出場権は確保。「今年G1を全部獲る」と公言しており、ここも圧巻のレースで他の追随を許さないか。なお、女子オールスター戦は今年からG1格付けになるが、パールカップ優勝なら現在3つのG1制覇をコンプリートすることとなる。
一方に西地区は、第1回パールカップ覇者でもある児玉碧衣が調子を上げてきている。4月のオールガールズは佐藤水菜の前に準優勝だったが、そこから4場所連続完全優勝の12連勝でG1を迎える。昨年はまさかの準決勝4着で決勝進出を逃したが、リベンジなるか注目を集めそうだ。
さすがのG1戦で、どこを切り取っても強いメンバーしかいない。昨年のパールカップでG1初出場・初優勝を成し遂げた千葉の石井貴子にとっては、連覇がかかる開催。とはいえ、G1でもいつも通り1走に注力して、勝ち上がりを狙う。昨年のグランプリ覇者である石井寛子は意外にもG1に限れば、決勝進出が1回のみと苦戦傾向だが、状況の応じた的確な攻めで、まだ手にしていないG1タイトルを目指していく。
東からは今年27戦26勝(敗れたのはオールガールズ決勝3着)の梅川風子、ダッシュ捲り鮮烈な太田りゆ、西からは今年すでに12Vの坂口楓華、昨年この大会でブレークした當銘直美らが参戦する。
中でも注目は仲澤春香のG1初参戦だろう。昨年9月から1月大宮まで23連勝をマーク。ナショナルチームの活動もあり、今年は2場所のみだが、ともに完全優勝。初のG1戦で、どのようなパフォーマンスを発揮するのか、楽しみは尽きない。
通常のガールズケイリンは2日間の獲得ポイントで決勝進出者が決まるが、パールカップは着順による勝ち上がり。シビアである反面、ワンチャンスで誰にでも勝ち上がる可能性がある。
3日目のメインレース(第12レース)に勝ち進み、優勝の栄冠に輝くのは誰か。大注目の3日間が始まる。
◆第3回パールカップG1(前検日)注目選手インタビューはこちら
※6/16追記
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今開催の勝ち上がり、岸和田バンクの特徴は、高松宮記念杯競輪(G1)特集ページにて掲載しておりますので、こちらでご確認ください。
【高松宮記念杯競輪(G1)特集】
(P-Navi編集部)