2025/04/26(土) 18:00
競輪界の最高峰のG1「第79回日本選手権競輪」が4月29日から5月4日まで名古屋競輪場で開催される。4月から犬伏湧也が新たに加わり、今開催はS級S班9名が初のそろい踏み。SSを中心に競輪界を代表する162名が6日間の激戦を繰り広げる。KEIRINグランプリ出場においても重要な一戦。スピードバンクとして知られる名古屋のゴールデンウィーク決戦は、ヒートアップすること間違いなしだ。
◆初日の出走表(29日更新)はこちらでチェック
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近畿勢がタイトル量産体制へ
今開催も近畿地区がタイトル戦線をリードするか。今年のビッグレースは2月の全日本選抜を脇本雄太が、3月のウィナーズカップを古性優作が制している。これだけではない。昨年10月の寛仁親王牌、12月のKEIRINグランプリを古性が優勝、11月の競輪祭は脇本が制している。つまり、昨年からビッグレース5大会連続で、この両者のどちらかが優勝していることになる。脇本は腰痛など不安要素もあるが、4月川崎記念2日目にはバンクレコードを更新するなど、破壊力抜群の仕掛けは圧倒的。古性はG1を8回、GPを2回制しているが、まだ手にしていないタイトルの一つが日本選手権。目標とするダブルグランドスラムに向けて、究極的な走りをさらに追い求めていく。なお、今回の初日選抜予選の想定番組から両者は同乗しており、注目を集めそうだ。
もちろん、近畿勢の躍進は両者だけのものではない。寺崎浩平や窓場千加頼らの台頭も大きなウエートを占めている。寺崎は昨年の寛仁親王牌から今年のウィナーズカップまでビッグレースで4開催連続の優出中。4月武雄G3は決勝進出を逃したものの、最終日はバンクレコードを更新。間違いなくG1初タイトルに近い選手のひとりであるし、そのスピードで一気にダービー王まで駆け上がる可能性も。
窓場は昨年、8月オールスターで準優勝、12月にG3初優勝するなど大ブレーク。全日本選抜は準決勝4着で優出漏れも、F1開催が続いた直近は4月の四日市で完全優勝している。昨年以上のパワーアップが叶えば、タイトルも十分狙える存在であるし、南修二、三谷将太、三谷竜生、村上博幸らが加わって、ますます近畿地区は強固なものとなっていく。
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南関東地区はエース郡司浩平が中心
郡司浩平は4月の地元川崎記念を完全優勝。準決勝は1着通過するも「次に繋がる走りをするべきだった」と振り返る。エースの自覚を胸に、決勝は好位確保から逃げる脇本を捲りで力強く捕えた。日本選手権は21年に準優勝があるが、ここ3回は失格や落車など歯車がかみ合っていない。地元記念優勝から大きな弾みをつけた今回は、流れを払しょくする走りに期待だろう。
深谷知広は2月全日本選抜(3着)、3月ウィナーズカップ(5着)で今年のビッグレースは連続優出中。3月の名古屋記念では郡司の捲りを差し切り優勝している。ウィナーズカップ後は欠場が続いているが、日本選手権に向けて万全の態勢を取ってこよう。SSの郡司、岩本俊介、さらに松井宏佑らと一線級の自力型がそろう南関東勢。深谷にとって約11年ぶりのG1制覇へ、今回もチャンスとなろう。
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眞杉匠や新山響平が今回もキーマンに
眞杉匠は2月全日本選抜の決勝で先行9着、3月ウィナーズカップは単騎捲りで準優勝だった。今年は本来の持ち味である積極策も多用して、直近4カ月のB数も16本。もちろん自在戦も器用にこなすタイプなだけに、あらゆる局面での最適解を持ち合わせているのは強み。一昨年のオールスター、競輪祭に続いて、3回目のG1優勝を狙う。
ダービー連覇がかかるのは平原康多。だが、今年も落車禍により本調子に欠く印象だ。直前の川崎記念も最終日に途中欠場しており、どこまで整えてこられるか。
関東は眞杉を筆頭に、吉田拓矢、坂井洋、小林泰正、佐々木悠葵、森田優弥、鈴木竜士など楽しみな自力型がそろっている。昨年は決勝に5名が進出しただけに、今年も昨年以上の躍進が見られるか。
新山響平の自力戦がレースの動向を左右する。3月ウィナーズカップの決勝も主導権を握り、強じんな粘りで3着に入線した。次の武雄記念は途中欠場で不安材料はあるが、スピードバンクの名古屋で、その走りの威力はさらに増しそうだ。また、毎年の話題にあがるが、山崎芳仁はこの日本選手権を勝てばG1グランドスラム達成となる。
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中四国も勢いを取り戻す
中四国勢からはS級S班の清水裕友、犬伏湧也、そして松浦悠士らが参戦。清水は昨年後半から不振が続いたが、今年4月高知記念では犬伏の逃げを差し切り、昨年8月松戸以来の優勝を飾った。日本選手権は19年松戸、23年平塚で準優勝するなど5大会連続の優出中で、さらに復調を加速させたい。
4月からS班入りした犬伏だが、初戦だった高知記念の初日に落車。それでも高知記念を準優勝、次の川崎記念も決勝進出している。落車の影響から調子をさらに取り戻せば、迫力満点の自力戦で好勝負必至。23年平塚の日本選手権でG1初優出、昨年の競輪祭では準優勝。もちろん次に視野に入るのは初のG1タイトルだ。
松浦悠士が存在感を示す。2月全日本選抜、3月ウィナーズカップはともに準決勝で勝ち上がりを逸したが、4月防府、玉野と地元地区のF1を連続優勝して、日本選手権の大舞台に臨む。研ぎ澄まされたレース勘で、オールラウンダーぶりを存分に発揮して、5年ぶり2回目の「ダービー王」の称号をつかみ取るか。
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今回も中野慎司、太田海也は軽視禁物
中野や太田をはじめとするナショナルチームの面々から今回も目が離せない。
中野は4月岸和田F1を完全優勝、次の川崎記念は二次予選で車体故障により勝ち上がりを逃すが、「必ずこの2走が今後に生きてくる」と敗者戦をしっかり連勝で締めくくった。G1は5回目の参戦で、日本選手権は初。まだ競輪の組み立てを課題にあげるが、国内の競輪でも大ブレークが期待される逸材だ。太田は一昨年の競輪祭でG1初優出を経験しているが、日本選手権は初出場。4月武雄記念の決勝は落再入(9着)だっただけに、状態面は気がかりだが、中野と同じくスケールの大きい走りで、国内の競輪でも圧巻のスピードを披露したい。
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地元の中部地区の動向は?
やや他地区の勢いに押されている印象がある中部地区だが、実力者の浅井康太や一昨年のダービー王で山口拳矢、さらに昨年のヤンググランプリ覇者の纐纈洸翔、上位級にも一矢報いる力をつけた藤井侑吾、今年3月にG3初優勝した志田龍星らが参戦。地元地区のダービーで躍進に期待したい。
九州地区も軽視できないメンバーが襲来。中でも山田庸平は4月に地元武雄記念を嘉永 泰斗の番手から抜け出し完全優勝している。切れ味鋭い走りは、ビッグレースでも冴えわたる。この好リズムを日本選手権にもつなげていきたい。ナショナルチームの山崎賢人は、やや戦績に波はあるものの、一撃のスパートの威力はトップ級。混戦時には特に要注意だろう。ベテラン健在の荒井崇博、4月にS級アドバンス優勝した松岡辰泰、嘉永泰斗や伊藤颯馬などが上位進出を目論んでくる。
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なお、1走目の特別選抜予選の想定番組は下記の通り。
【初日第11レース】
1/古性優作(SS・大阪100期)
2/新山響平(SS・青森107期)
3/吉田拓矢(S1・茨城107期)
4/武藤龍生(S1・埼玉98期)
5/松井宏佑(S1・神奈川113期)
6/小林泰正(S1・群馬113期)
7/松谷秀幸(S1・神奈川96期)
8/菅田壱道(S1・宮城91期)
9/脇本雄太(SS・福井94期)
【2日目第10レース】
1/和田真久留(S1・神奈川99期)
2/眞杉匠(SS・栃木113期)
3/松浦悠士(S1・広島98期)
4/窓場千加頼(S1・京都100期)
5/平原康多(SS・埼玉87期)
6/佐藤慎太郎(S1・福島78期)
7/岩本俊介(SS・千葉94期)
8/河端朋之(S1・岡山95期)
9/寺崎浩平(S1・福井117期)
【2日目第11レース】
1/清水裕友(SS・山口105期)
2/浅井康太(S1・三重90期)
3/郡司浩平(SS・神奈川99期)
4/坂井洋(S1・栃木115期)
5/深谷知広(S1・静岡96期)
6/小原太樹(S1・神奈川95期)
7/佐々木悠葵(S1・群馬115期)
8/山口拳矢(S1・岐阜117期)
9/犬伏湧也(SS・徳島119期)
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今開催の勝ち上がり、名古屋バンクの特徴は日本選手権競輪(G1)特集ページにて掲載しておりますので、ご確認ください。
【日本選手権競輪(G1)特集】
(P-Navi編集部)