2024/11/08(金) 12:00
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は久保田泰弘が最後に決めた「ファイナルヘッドバット」の悶絶好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
防府競輪場で行われた大阪・関西万博協賛「開設75周年記念 周防国府杯争奪戦(GIII)」の最終日、11月4日に泥臭い好プレーがあった。地元の久保田泰弘(29歳・山口=111期)は、二次予選で敗退し、準決に進めなかった。悔しさを胸に3日目特選は苦境に置かれたものの自らまくりに転じて1着。最終日は11R特別優秀を走ることになった。
深谷知広(35歳・静岡=96期)がいるレース。久保田は自分で動く形になり、勝負所で深谷の番手に追い上げた。「あれしかなかったです」。外並走で、噛みつくように位置を取りに行った。
逃げているのは深谷だ。ハイペースの先行の上、333バンクの外だ。「内は苦手なんで」と外並走の方が得意とはいえ、条件は厳しい。
だが、しかし、だった。
番手を守らないといけない渡辺雅也(23歳・静岡=117期)も意地がある。再三再四の激突。好プレーとしたいのは最後の頭突きの箇所で、打鐘4角、ここで取り切れずまた浮かされれば終わる、そんな最後に決めた「ファイナルヘッドバット」があった。★2つ。
「もんぜつ!」
引き揚げてきた久保田は目の前に星が散らついているかのように目を泳がせ、「もんぜつ!」と繰り返した。自分の着順も分かっておらず、3着とわかると「悶絶の3着!」と映画のサブタイトルのようなワードを放った。シリーズを通して地元の久保田に送られた声援はすさまじく、競輪場が一体となるような好プレーだった。戦いだった。
すごいで賞=★★☆☆☆(星3つ)