2024/07/29(月) 11:21
長野県・富士見パノラマリゾートでMTBのクロスカントリー・オリンピック(XCO)種目の全日本選手権が7月7日、開催された。
この日の最終レースは男子エリート。直前に終了した女子選手のレースの興奮が残る中、男子選手がスタートエリアに集まってくる。
※女子のレースレポートはこちら
酷暑と呼べる真夏の気温の中、男子XCOのレースが開催された。選手がスタートラインに並ぶ
注目は、昨年度優勝し、前日のショートトラック(XCC)種目でも優勝し、好調を示した沢田時(宇都宮ブリッツェン)。日本代表として出場したアジア選手権大会(マレーシア)でも優勝しており、この日はアジアチャンピオンのジャージ姿でスタートラインについた。'22年のチャンピオンである平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)がどれだけ沢田に喰らいつけるかがポイントとなると見られていた。
富士見パノラマリゾートに設営されたレースサーキット。昨年より難易度を上げたロックセクションが選手たちを苦しめた(画像出典:大会要項)
気温は30度を軽々と超え、強い日差しが照りつける。前日の試走時はウェットコンディションだった路面は完全にドライとなった。暑さ対策を施した選手たちがスタートラインに並ぶ。男子エリートはコースを7周回する設定で競われる。
いっせいにスタート
平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が先頭に立つ
スタートの号砲が鳴り、選手たちは、はげしい土ぼこりを上げながらコースに飛び出して行った。好スタートを切った平林が長く伸びた集団の先頭に立つ。
難しいセクションも含まれ、梅雨明けを待つ中での酷暑という厳しいコンディションで、早くも集団はばらけ、2周目にして、先頭は沢田、平林、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)、宮津旭(OLIVE)の4名に絞り込まれた。
ほどなく、先頭は4名に絞り込まれた
竹内が仕掛け飛び出すと、沢田が反応。2名が少し前方に抜け出す形となった。竹内は沢田を試すかのようにペースを上げて行くが、沢田は竹内に付いて走る。
難しい岩のセクションを慎重に越えていく沢田時(宇都宮ブリッツェン)
落ち着いてレースを運ぶ平林
ほどなく、ここに宮津が追い上げ、合流し、先頭は3名となった。
宮津旭(OLIVE)が単独で追い上げ、先頭に合流
先頭は速いペースを刻んでいたが、竹内と沢田はさらにペースアップ。宮津は耐えきれずに脱落し、先頭は2名に絞られた。
暑く、タフなコンディション下ではあるが、持ち直し、ペースを上げてきた平林がじわじわと追い上げ、ついに先頭2名に合流。3名のパックを作った。
沢田がアタックし、集団から抜け出すが、竹内がここに食らいつく。再び2名の先行となったが、平林が再度合流。このままのペースで2名を抜き去ろうと前方に出た。だが、沢田はこの動きにも冷静に対処し、平林について行き、先頭は沢田と平林の2名となった。
先頭を独走する沢田
ここから沢田が抜け出し、平林はここには付いて行かれず、単独先行状態に持ち込むことに成功。沢田先行のまま、6周目に突入。10秒程度の差で平林は沢田を追う。
このままレースは最終周回へ。沢田は自身の優勝を確実にするためにラストスパートのペースアップを図り、平林を少しずつ引き離して行く。
沢田は20秒に開き、勝利を確信した状態でホームストレートに姿を現した。力強いガッツポーズで雄叫びを上げながらフィニッシュラインを通過、'21以来3年ぶりに、全日本選手権XCOを制したのだった。
厳しい戦いを勝ち抜き、全日本選手権を制した沢田時
優勝した沢田、2位の平林、3位の宮津
ゴール後、終盤の激闘を制した沢田は滝のような汗を流しながら、全てを出し切ったかのように、しばらく座り込んでいた。「ライバルが強くて、アジア選手権よりもいい走りができたと思う」と振り返る。「応援ありがとうございました。暑く、過酷なレースで、途中落車(転倒)もあったが、気持ちが切れなかったのは、応援のおかげです。感謝しています」と、熱い声援を送った観客への感謝の言葉でインタビューを締めくくった。
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【結果】
MTB全日本選手権2024XCO
【男子エリート】
1位/沢田時(宇都宮ブリッツェン)1:18:54.47
2位/平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)+25.71 1
3位/宮津旭(OLIVE)+1:19.97
4位/竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)+3:23.98
5位/横山航太(ペダル)+3:35.21
トップ掲載写真:長野県・富士見パノラマリゾートでMTB XCO(クロスカントリー・オリンピック)の全日本選手権が開催。ロックセクションを走る沢田時(宇都宮ブリッツェン)
写真:Satoshi ODA(P-Navi編集部)