2024/07/28(日) 10:31
長野県・富士見パノラマリゾートでMTBのクロスカントリー・オリンピック(XCO)である37回目の全日本選手権が7月7日に開催された。
2年連続で同会場が使用され、サーキットが設営されたが、今年のレイアウトは少し難易度が上がったという。
富士見パノラマリゾート内に設営されたレースサーキット(出典:大会要項)
前日には、このおよそ3分の1の距離のサーキットが設定され、ショートトラック(XCC)種目の全日本が開催された。男子エリートでは沢田 時(宇都宮ブリッツェン)が、女子エリートでは川口うらら(TEAM TATSUNO)が優勝している。
当日は朝から快晴で気温が上がり、高原でありながらも30度を超え、真夏日に。タフなレースが予想された。
12時をまわり、まずは女子のレースのラインナップが始まった。複数のカテゴリーの混走で行われ、ユースは3周、ジュニアとU23は4周、エリートは5周回で競われる。
注目は、前日のXCCで優勝し、アジア選手権で5位となり、パリ五輪の日本代表に選出されている川口うららと、昨年の全日本チャンピオンである小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)だろう。小林は、今年は冬の競技シクロクロスの全日本でも優勝している
。
スタートラインで談笑する小林と川口うらら(TEAM TATSUNO)
ジリジリと照りつける日差しの下で、レースが始まった。
川口が好スタートを切り、先頭で最初の登坂を駆け上がっていく。
いっせいにスタート。最初の登坂を全力で駆け上がる
やがて川口と小林、ロード競技でU23のチャンピオンとなった石田唯(TRKWorks)や、ジュニア、ユースの注目選手たちからなる7名のグループが形成された。
ほどなく、先頭集団が形成された
先頭から1名が脱落し、6名に
今年、難度が上がったというセクションの中で、大岩を越える際に1名が転倒、腹部を強打し、リタイアとなった。
酷暑の中、補給地点で冷水を受け取り、身体を冷やしながら走る
ペースを維持しながらリズム良く走る小林
照りつける太陽に体感気温はますます上がり、ハードな周回をこなす選手たちも追い込まれていく。先頭集団はバラバラになり、全員がそれぞれのペースで走ることに。この中で先行したのは、まだユースながら、抜群のセンスで軽々とセクションを越えていく日吉彩華(岐阜第一高等学校/Teamまるいち)と小林だった。
すばらしいペースで全体の先頭を走り、早々にユースカテゴリーの優勝を決めた日吉彩華(岐阜第一高等学校/Teamまるいち)
日吉彩華が先頭を行き、その少し後ろを小林が追う。2名は一定の差を保ったまま、好ペースで周回をこなしていった。
日吉は軽やかに走り、ユースの規定周回である3周回を最速で終え、フィニッシュ。ユースのチャンピオンとなった。
酷暑の中、レースはサバイバルレースと化して行った。日吉のフィニッシュ後、独走で先行する形になった小林は淡々と走り、川口との差をキープ。U23では、石田がトップでフィニッシュし、優勝を決めた。
先頭を追う川口
最終周回も小林はトップを譲らず、先頭を独走し、そのままフィニッシュ。2位に2分以上の差をつけての優勝となった。小林は連覇を達成し、U23だった一昨年から3回連続の優勝となった。
堂々とした走りで連覇を遂げた小林
母と健闘を称え合う小林
優勝した小林、2位の川口、3位の竹村舞葉(AX MTB Team Elite)
小林はゴール後「この1カ月悔しいことしかなく、自転車を辞めようかと思うくらい悔しかったけれど、周りの人たちが応援の声をかけてくれて、その人たちのためにも、ここで走らなくてはと思った」と感極まった様子で語り「優勝という形で、自分の強さが見せられてよかった」と優勝を噛み締め、コーチでもある母と抱擁し、喜び合っていた。表彰台では「来年も、優勝できるように1年がんばっていきますので、これからも応援をよろしくお願いいたします」と笑顔で語っていた。
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【結果】
MTB全日本選手権2024 XCO
【女子エリート】
1位/小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) 1:07:24.74
2位/川口うらら(TEAM TATSUNO) +2:13.74
3位/竹村舞葉 (AX MTB Team Elite) +13:32.96
【女子U23】
1位/石田唯(TRKWorks) 0:58:08.43
【女子ジュニア】
1位/日吉愛華(中京大学/Teamまるいち)0:59:02.20
【女子ユース】
1位/日吉彩華(岐阜第一高等学校/Teamまるいち) 0:40:42.44
※男子のレースレポートはこちら
トップ掲載写真:長野県・富士見パノラマリゾートでMTBのクロスカントリー・オリンピック(XCO)種目の全日本選手権が開催。先頭をゆく小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)
写真:Satoshi ODA(P-Navi編集部)