2021/04/24(土) 10:12
1日目のレポートはこちら
前日に引き続き、北見市でサイクリング環境の実証実験の一環として、モニターライドが開催された。
2日目は男子選手を中心とした長距離班と、グルメ班の2班に分かれて走る。グルメ班は昨日と同じ2名に、新たな1名を加え、女性3名でレンタサイクルなどを使用して参加。この日のグルメ班の行程は、北見市をスタートして、西に進む。温根湯温泉方面に向かい、「おんねゆ道の駅」から北見バスに自転車とともに乗り、帰着するというもの。
今日もNAVITIMEをガイドに走る
走行距離は約46km。ごく緩やかな上り坂が続くルートだ。この日もルートを読み込んだNAVITIMEのアプリをセットし、北見駅近くのホテルから出発する。まずは全員で「北見ハッカ記念館」と「薄荷蒸留館」へ。
ハッカ記念館に到着
色々なハッカ製品があって面白い
過去には世界市場の7割もの薄荷(はっか)を生産していた北見市。当時のホクレン薄荷工場の研究所が北見市に寄贈され、このハッカ記念館になった。蒸留館は、かつてハッカを蒸していたハッカ小屋をイメージしたもの。実際に蒸留し、作業工程を来場者に知ってもらう体験型の施設になっている。
今回は体験パートは見送り、蒸留館で生産過程の説明を受け、ショッピングを楽しむことになった。多様なハッカ製品が展開されていて、興味津々。ハッカを使った飴やチョコ、砂糖がけの豆菓子など、スイーツも豊富。コーヒーやココアなどに入れると、ほんのりハッカ風味になるというハッカ糖など、あれこれお買い上げ!
続いては、走行前のスイーツ補充だ。「清月」が駅近くに構える本店に向かう。平昌五輪でメダルを獲得したカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」が試合合間の「もぐもぐタイム」で食べていた「赤いサイロ」というお菓子が話題を呼び、一躍日本中に名前が知れ渡ることになった菓子店だ。
清月へ到着
清月でお買いもの。ロコソラーレのコーナーも
2020年に「清月」から「ANKO de CHARGE」なる商品が発売された。この商品はいわゆる飲む羊羹的なスイーツ。羊羹はほぼピュアな糖質で作られており、スポーツの補給用の糖質サプリに中身が近く、ロングライドなどで携帯することも多いのだが、スイーツとスポーツフードの間にある存在というところか。つぶあん、こしあん、白あん、と3つのフレーバーがあるが、どれもさすがの味。あくまで素材の味が生きた美味なスイーツだ。キャップができるため、一気に飲み干す必要もなく、必要な量だけ使えるのも嬉しい。「補給」が「至福のごほうび」となりそうだ!
筆者イチオシは白あん!美味しくて止められない
スポーツの補給食として携帯するのでないなら、冷蔵庫に入れて少しずつゆっくり味わうこともできる(もちろん口をつけるので衛生面から早めに飲みきるべきではあるが)。
生ケーキもあり、目移りしながら、それぞれ、気になる商品をゲット。この日は補給を携帯しないとエネルギー切れになる可能性がないグルメライドだったが、さっそく頬張ったり、ポケットに忍ばせたりして、店を後にした。
ここからは本格的なライドが始まる。自動車が来ない無加川の堤防上を行くことになった。冬景色ではあるが、草地も多く、緑色が濃いため、春のような華やぎもある景観が広がる。川沿いとはいえ、ほぼ川のありかは分からないほど、広大な空間が広がっている。河川敷は運動場になっていたり、市民のために活用されているようだ。
無加川堤防上を行く
開放感のある景観が続く
実は、この日も激しい向かい風。季節風を考えず、西に向かうルートを設定してしまったのだ。大きな風切音で会話はできず、吹き付ける風に減速を強いられ進まず、思わず笑ってしまう。これもまた、良い思い出になるのだ。
自転車ならではの道を行く(Photo:Naoki YASUOKA)
堤防を降り、一般道へ。交通量はそれなりにあるが、路肩も広く、車が自転車を大きく避けてくれる。立ち寄りまで、ともかく頑張ろう!と、掛け合いながら進む。
続いての立ち寄りも菓子店だ。来年創業90年を迎える老舗「御菓子司 圓泉堂」で再度のスイーツ補給。
「圓泉堂」に到着!(Photo:Naoki YASUOKA)
老舗ながら商品展開の豊富さに驚く。購入商品を絞り込めない
この店の代名詞である「熊のまくら」をいただく。見た目は、かりんとうのようではあるが、外側にしっかり糖衣がかかり、中はふんわりしたカステラ。黒糖とはちみつの風味が漂う、しっかりと甘いお菓子だ。とくに疲れた時は、この甘さが染みる。
看板商品「熊のまくら」。外はサクッとするが、中身はふわふわだ
ついつい買いすぎた!特に「熊さんの初恋」も絶品!
糖衣にハッカを加え、小ぶりで食べやすくした「子熊のおやつ」や、ホワイトとイチゴチョコがかかった「熊さんの初恋(季節限定)」など、アレンジバージョンもあるのだが、まったく違うお菓子のよう。お椀型のモナカや、外側に羊羹がかけられたモナカ「黒ゆり」など、和菓子もオリジナリティーに溢れており、焼きドーナッツのような洋菓子もおいしい! 自転車で着いた我々を応援してくださり、店舗のスタッフの方がコーヒーを入れてくれた。皆が本当に温かい。そして、またもや買いすぎ、食べすぎて、予定が押していくのだった。
再スタートし、遅れを挽回すべく、ペダルを回して行く。しかし、向かい風で思うようには進まない。焦っても仕方ないので、スケジュールを組み替えながら、ゆったり行こう!
美しい景観の中を進む(Photo:Naoki YASUOKA)
道路脇には畑が広がり、その奥には山々が連なる。幹線道路ではあるが、景観も楽しめる。このあたりは玉ねぎ畑が多く、収穫期は香りでいっぱいになる。路面も走りやすく、強い向かい風以外は爽快だ!
続いてはランチ休憩だ。地元で人気の「レストランef(エフ)」に到着。
分厚いメニューの中を見ると、気になるものばかり! ここまでかなり食べていて、空腹ではなかったはずだけれど、全員が一気に食事モードに変わった。悩みに悩んで、数品をオーダー。
まずは名産白花豆の2品が運ばれてきた。
白花豆の天ぷらとコロッケ。どちらも感動の味
「白花豆の天ぷら」は、大粒の白花豆にサクサクの衣が付けられていて、中身はホクホク。こんな料理があったとは!「白花豆のコロッケ」も、豆の風味が絶妙に生きていて、やみつきになる味だ。感動の中、運ばれてくる料理はどれも、すごい迫力!
玉ねぎフライのタワー付き!彩りも美しい塩焼きそば
名産の玉ねぎの天ぷらが高く積み上げられ、立体的に視覚にもアピールしてくる塩焼きそば。分厚いホタテも入っていて、焼きそば自体も高級料理の域!
スパゲティー?カツ?カレー?オリエンタルなスパゲティー
オリエンタルスパゲティーのインパクトも圧倒的。カツが乗り、さらにカレーをかけて食べる? どのあたりがオリエンタルなのか議論になったが、色々な国籍の融合ということだろうか。外はサクサク、中身はやわらかいカツ自体も美味だし、全部合わせても美味しい。不思議な一品だ。
豆を使ったモンブラン。豆きんとんのような風味もあり、和洋折衷スイーツとも言える
デザートは白花豆のモンブラン。豆の旨味を味わうことができ、和のテイストも感じられる不思議なケーキ。
一品一品のパンチが効いており、どれも本当に美味しかった。北見の食のクオリティーの高さに、改めて脱帽だ。おなかは満足したが、ライドに関しては、まだまだ先が長い! 食べたからには、エネルギーを消費しようと勢い込んで再スタート。風は相変わらずだが、足取りは、少し軽い。
両脇を田園風景に囲まれ、景観も良く、交通量の少ない農道がこのルートに並行して走る形になる。こちらを選び、「おんねゆ道の駅」を目指そう。開放感のある景観と、トラクターや農作業する方々が働く風景がまた絵になる。
道の駅に到着すると、ちょうど時計の長針が「12」を指し、ハト時計が動き始めるところだった。大急ぎで自転車を置き、時計の前に走る。
「ハト時計」から巨大な鳥が飛び出してきた!迫力にどよめきが起きる
このハト時計は、「時計塔」と呼んだ方がしっくりくる巨大さで、「世界最大級」のサイズだという。オルゴールに合わせ、音楽隊の人形が踊りと演奏を披露したのち、大きな鳥が出てきて「パッポー」と鳴く。この鳥が、人間の幼児程度は乗せられるレベルの大きさで、羽ばたくと、かわいいというより、迫力がある。一連の仕掛けがショーのように見応えがあり、人気があるのだ。
北見名物たまコロ!あまりのおいしさに購入したカップは一瞬で空になった
ここに、北見名物の玉ねぎをふんだんに使ったコロッケ「たまコロ」を提供する店舗がある。「たまコロ」は、じゃがいもを一切使わず、玉ねぎオンリーという産地ならではの贅沢な一品。
まずはプレーンを注文。おやつ菓子のように小ぶりなコロッケを頬張ると、サクサクの衣の中身は、ねっとりとした食感で、玉ねぎの甘味と旨味が口中に広がる。美味しい!!! 人気のカレー味にも挑戦したが、こちらはカレーの風味が加わることで、味が引き立てられ、また違う美味しさ。土産やお取り寄せで人気の「たまコロ」だが、北見に来たら、食べる価値は十分にあるだろう。
この道の駅には、コンパクトながら、見せ方を工夫し、人気のある「北の大地の水族館」が入り、キタキツネを間近に見られる「北きつね牧場」も隣接している。少し足を伸ばせば、隣の広場には無料の足湯も設置されている。白花豆のソフトクリームなどグルメも充実しており、時間を確保して楽しんでもよいだろう。
滞在組は「北の大地の水族館」へ。魚たちの見せ方に工夫が凝らされており、ファンも多い
この日は、この道の駅のバス停から北見駅行きのバスに乗って戻る予定。ここでゆったり過ごして待機する選択肢もあるが、まだ行きたいメンバーはもう少しだけバイクを走らせ、この先の丘に広がる絶景を楽しみ、日帰り温泉に立ち寄ることになった。
夕陽に照らされ、美しく輝く景観の中を走る
上り基調だけど、最後まで頑張ろう!
ここからは少しヒルクライム。道の駅の裏手を上っていく。田園風景を抜け、しばらく行くと視界が開けてくる。思わず歓声があがった。山々と田園風景と集落と__。傾き、色を変えたやわらかい陽の光に照らされた景観は、えも言われぬ美しさ。思わず見とれてしまう。
遠くから見ると、チーズハンバーグにしか見えなかった干し草ロール。近くで見ると……!?
日が暮れてきた。ゴールまであと少し(photo:Naoki YASUOKA)
気温は落ちてきてはいるが、チーズハンバーグに見えると道中話題になった干し草ロールに遭遇したり、広がる景観があまりに美しかったりと、時々バイクを止め、記念撮影を楽しみながら進む。頑張ってここまで来て良かった! 進行方向が変わったことで風の影響もなくなっており、美しい景色の中を走るのは、とても爽快だった。
ゴール!取材や調査のために帯同された皆さんと一緒にパチリ
「塩別つるつる温泉」に到着。ここでは「肌がつるつるになる」と、美肌の湯として人気のある温泉を、日帰りでも、宿泊でも楽しむことができる。ランチ利用も可能とあって、地元でも頻繁に足を運ぶ方も多いそうだ。ここでゴール後に汗を流し、さっぱりしてから戻るのも良いし、宿泊して、ゆったりお湯を楽しむのも良いだろう。日暮れになり、急激に気温が落ちてしまったこともあり、安全を優先させ、道の駅まで自転車で戻らず、ライドはここで終了させることになった(春〜秋であれば、まだ屋外は明るく暖かいため、バス停まで乗って戻り輪行は可能)。
塩別つるつる温泉で、休憩を取り、この日を振り返る。向かい風は厳しかったが、その分だけ食べものは美味しく感じられたし、結果オーライ! 道中は変更や再検索はあったが、ガイドなしに、つるつる温泉まで走りきれることができた。この土地ならではの味覚も味わえ、気持ち良く、楽しいライドとなった。
この地は、凍結や積雪で11月中旬以降のオンロードは中止となり、雪上ライドのシーズンへと移行する。このつるつる温泉付近でも、2月には雪上ライドや厳寒焼肉などの冬イベントが企画されていると聞く。
オンロードの楽しみが始まるのは、4月頃から。また、散策してみよう!
(※昨年冬のレポートです)
画像:サイクルアドベンチャーオホーツク推進協議会、Naoki Yasuoka(Cyclowoired.jp)、編集部(P-Navi編集部)