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天野記者の『オートレースNOW』Vol.10

2018/03/14 (水) 18:26

天野記者の『オートレースNOW』Vol.10

2018年初の特別G1となるプレミアムカップは3月21日~25日、山陽オートレース場で行われ、2年連続MVPの鈴木圭一郎(浜松32期)がシリーズリーダーを務める。日刊スポーツが命名した“記録ハンター”や“オートの申し子”の異名通り、鈴木は規格外の選手だ。2017年はSG4大会連続優勝の快挙を達成したが、結果以上に毎日の取り組みを重要視する姿勢を忘れない。モットーは「目の前のレースに1走、1走、全力で取り組むだけ」である。
現在のエンジンには満足していない。優勝戦は2月20日の飯塚一般が4着、2月12日の浜松G1が6着だった。
「予選からずっと良くない。何が悪いのかシッカリ考えて対応したい」
どうすればトップレベルのエンジンが作れるのか?整備には正解がないことは分かっている。
「負けがあるから成長できるし、壁があるから面白い」と、実感を込める。

より上を目指すために、部品には出費を惜しまない。クランクは15万円、ケースは30万円、ヘッドはカムなどを含むと30万円。
「例えば、ヘッドは当たり外れがあるし、相性もある」
合わない、良くないと、感じた時にはさらにパーツ交換に着手する。
「クランクはいいのが見つかるまで、3、4個は換えるつもり」
2017年に投資した部品代は約2,000万円にもなった。1本=8,000円のタイヤは1ヶ月に12〜14本、年間では楽に100万円を超える。
2017年の賞金獲得額は8,576万円で1位。2月26日のJKA表彰式では賞金の使い途については「ほとんどを車に使いたくなる」と、語っていた。さらに「毎年、毎年、オートレースが好きになっている」とも。賞金ランク1位の生き様は仕事=オートレース、趣味=オートレース、道楽=オートレースなのである。
2018年はすでにSG全日本選抜を優勝している。島田信廣(船橋11期・引退・故人)、片平巧(船橋19期・引退・故人)に続く史上3人目の3年連続MVPに向け、一気に加速する。

鈴木の独走に待ったをかけるのが、ダブルグランドスラマーの永井大介(川口25期)だ。川口オートの名物G1、3月7〜11日に行われた第66回開設記念グランプリレースで優勝。前哨戦とも呼べるグレード戦Vは大きな弾みになる。優勝戦では2枠からすぐに先頭を奪い、危なげないレースぶりで逃げ切った。2018年の初Vにブレイクの予感が漂う。
「なかなか優勝できなかったが、これをキッカケにしたい」
2017年は選手最多の優勝10回、波に乗ると手のつけられない男だ。

グランプリレースで優出を逃した実力者も巻き返してくる。
青山周平(伊勢崎31期)、金子大輔(浜松29期)、高橋貢(伊勢崎22期)らはマシンをどう立て直してくるか?黙って引き下がる訳にはいかない。

グランプリレースには参戦しなかったが、松尾啓史(山陽26期)は要チェックの選手だ。2月24日優勝戦のG2レジェンドカップで、G1スピード王決定戦に続くグレード戦連続Vを達成。「エンジンはすごくいいので、この状態を維持したい」と、意気込む。
女子の岡谷美由紀(浜松32期)も開催を盛り上げる。2017年に優勝2回。2月20日に川口オートで早くも2018年初Vを飾っている。

グランプリレースの予想は難しかった。車券は大きなマイナスにはならなかったが、走路状態の変化を見極めるのは本当に難しい。良・斑(ぶち)・湿があり、それぞれで違いがある。西川口で行きつけのスナックのママが「オートレースを見てみたい」とのことだったので、オートレース記者の意地を見せるべく川口オートへ乗り込んだ。だが、当たりはなしで、株を下げてしまった感。次の機会には必ず巻き返したい(笑)。

オートレースNOW

天野記者

Perfecta Naviのオートレースライター。

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