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【松戸競輪・ルーキーシリーズ】6浪の末に夢かなえた高本和也「俺、本当にプロになったんだな」

2022/05/02(月) 08:00 0 1

4月30日から6月にかけて全4戦行われる「競輪ルーキーシリーズ2022」。30日から始まった第1戦の松戸シリーズで、”6浪生”高本和也がデビューを飾った。夢舞台に立つまでの道のりをを聞いた。(取材:netkeirin編集部)

苦労人だがそれを感じさせない大らかな雰囲気。「いじられキャラなんです」と本人談

 高本が日本競輪選手養成所に合格したのは2020年。神奈川県立追浜高校3年生の時に初めて受験してから7年の時が経過していた。自転車競技歴はあったが、1次試験の技能試験で課された1000mのタイムが合格ラインを超えなかった。

「技能試験には合格目安があるんです。1000mだと1分9秒台でしょうか。自分は最初1分12秒5と全然遅くて、これじゃいけないと思って川崎競輪愛好会に入れてもらったんです。師匠である森川剛(89期)選手、それに村上直久(95期)選手からアドバイスを頂き、年々タイムが速くなっていきました」。

 愛好会で力をつけ、2019年に1次試験を突破する。「愛好会の練習で1分9秒台が出るようになったので手応えはありました」。重い扉をこじ開けたに見えたが…「2次試験がダメでした」。

 2次試験は、SPI(国語・数学の基礎学力)、口頭試問、作文・受験態度による考査が行われる。「高校を卒業してから勉強から離れていてすっかり忘れていたのと、面接もハキハキしていなかったので、やる気がないように見られたかもしれません(苦笑)」。

 6浪中はアルバイトと愛好会の日々だったという。「実家通いとはいえ、家族に迷惑をかけられないので、居酒屋と競輪場の補助員の臨時バイトをしていました。居酒屋では厨房に入ったり、オーダーを取ったり。補助員は各コーナーに立って、レースで走る選手を見ていました」。

 競輪選手以外の進路で揺れた時期はなかったのかと聞くと、「居酒屋からは正社員の話や、補助員も臨時ではなく正規採用のお話もいただきました。でも、自分は高卒ですし、稼ぐなら競輪選手の道しかないと思っていたので…愛好会でのタイムも速くなっていましたし、諦めるにも諦めきれず」。

 7回目の試験に向けては2次試験対策として、家庭教師を付けて勉強に取り組み、面接の練習も行った。「2019年以降は受験回数が5回までと制限もかかっていたのでプレッシャーもありました」。出来る事は全て行い、5.6倍の倍率を突破。養成所では全3回の記録会でA評価を獲得し、ボーナスとして40万円を受け取った。「養成所で報奨金を頂けましたし、レースでは賞金が貰えます。初日にバンクに入った時、お客さんの視線や自分の名前が場内モニターに表示されているのを見て、プロ選手になったことを実感しました」。

 前検日直前にはホームバンクの川崎競輪場で、S級S班の郡司浩平選手、新村穣選手、同期の齋藤雄行選手と練習を行ってきた。「ギアをかけて1人ずつカマす練習を700m×4本、4コーナーからはフォームを意識して走りました。(郡司)浩平さんにはレース中の心構えを教えてもらっています。早くS級に昇級して南関東、神奈川の前を引っ張る選手になりたいです」。

「競輪選手を目指しているけど、タイムが出ずに悩んでいる人の力になれたら」と最後に話してくれた高本。デビューまで遠回りした苦労人はハングリー精神と恵まれた練習環境でトップ選手を目指す。

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