準決勝9Rは後手に回って捲り不発。4着に敗れて3節連続の優出とはならなかった井寺亮太。長崎県出身で競輪好きの父に連れられて、幼い頃から佐世保競輪場に足を運んだ。陸上自衛隊で勤務したが、競輪選手への夢を諦められなかった。福島支部の113期生として2018年7月にデビューし、2021年の5月に故郷の長崎支部に移籍した。

「競輪の迫力も好きだけど、予想して車券を買うのが好きだった。そこが競輪の最大の面白さだと思う」。

　他競技にはない、独特なライン競走が井寺に刺さっていたわけである。競輪好きが高じて選手に。ところが、競輪学校で思わぬ衝撃を受けた。

「競輪選手が車券を買ってはいけないということを知らなかったんです。今思えば当たり前なんですけどね。当時はびっくりしたし、ショックでした。車券を買う側の気持ちがわかるので、買ってくださるファンのために頑張りたいと思う。“先行基本”とコメントして、先行しないとかは極力しないようにしています」。

　ちなみに準決勝の井寺は「先行基本」のコメントで捲り不発だった。それを突っ込むと「そんなこともあります！ 仕掛けは早かったと思います」としどろもどろ。

　最終日7Rは4車ラインで「先行基本」のコメント。今度こそ、きっちりと主導権を握ってレースを支配してもらおう。(netkeirin特派員)