2022/03/09(水) 18:00 0 4
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は若手選手の度胸が据わった好プレー! 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
3月3日、名古屋競輪場の「開場72周年記念 金鯱賞争奪戦(GIII)」の初日特選12Rで眞杉匠(23歳・栃木=113期)が度肝を抜く単騎まくりを決めた。松浦悠士(31歳・広島=98期)がライン4車の先頭で最終HS手前からカマす展開。どう考えても、そのラインで決まる。しかも番手は清水裕友(26歳・山口=105期)だ。
眞杉は9番手にじっと構える。最終BSでちょっと空いた車間を詰めてまくり追い込んでいく。こんな走りをするのは上位でも脇本雄太(32歳・福井=94期)やこのレースを走っていた浅井康太(37歳・三重=90期)くらい。そしてちゃんと届いてしまう力があるのは、新田祐大(36歳・福島=90期)、深谷知広(32歳・静岡=96期)、北津留翼(36歳・福岡=90期)辺りだ。その名前に完全に並ぶことを証明する1着だった。
マスッギーの世界がある。ワッキーが近畿の先陣から成長していった姿が浮かんだ。関東の先陣の立ち位置で終わるつもりは毛頭ない。下積みで終わる選手ではない。その可能性に挑戦した好プレーだった。自分には何ができるか、これからどこまで上り詰められるのか…。まだGI戦線で壁に当たっている時だからこそ、腹をくくって自分を試した。
決してラッキーパンチではない。
その気概に★3つ。特に昨年8月のいわき平オールスターの準決で脇本に対し、強烈な敵意で挑んだからこそ、今回の走りに姿が重なるものがあった。パッと見優しそうで、申し訳ないが、強靭には見えない雰囲気も若いころの脇本と重なる。
マスッギー。彼の瞳は、ワッキーの背中をとらえている。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)