2025/12/01(月) 18:00 0 5
今年の顔であり、2026年S級S班所属となる9名の選手たちによる一発勝負。競輪界の一大決戦「KEIRINグランプリ2025」が30日、平塚競輪で開催される。netkeirinでは9日間にわたり、出場選手たちの特徴やグランプリまでの道のりを日替わりでお届けしていく。今回は今年GIIIで6度の優勝を果たした郡司浩平を紹介する。(構成:netkeirin編集部)
GI戦線でも活躍した郡司盛夫氏を父に持つ郡司浩平。99期にデビューするも、いきなり大活躍のニュースター! という雰囲気ではなかった。それでも徐々に徐々にと力を付けて、デビュー6年目の「ウィナーズカップ(GII)」で特別競輪初優勝を果たした。そこからの活躍はみなさんご存じの通りでGI3回優勝、グランプリ5回出場と常にトップレーサーとして南関東地区を牽引している。
昨年の静岡グランプリでは人気の一角に推されたが、前を託した北井佑季が不発に終わり郡司も4着に敗れた。レース後「この悔しい気持ちは来年の平塚で晴らしたい」と話したように、25年は地元グランプリへ向けて出場権を逃せない、勝負の一年だ。
そして始まった25年シーズン。年始に松阪記念、高松記念の連続GIII優勝など、相変わらずの安定感でコツコツと賞金を積み上げていく。
4月に入り、迎えた地元・川崎記念。S班からは郡司のほか、脇本雄太、犬伏湧也、平原康多、さらにS1からも浅井康太、中野慎詞など、郡司の優勝を阻む可能性のあるメンバーが多く揃ったが、これらの強敵を続々と破り、3連勝で決勝へと駒を進める。
南関勢からは郡司浩平、松谷秀幸、佐々木眞也、根田空史の4車が勝ち上がるがここは神奈川3車が結束し根田が単騎戦という形で分かれることに。並びを決めた経緯として、根田が決勝前日「地元勢を引っ張っても良かったけど、年齢的にも却下された(大笑い)」と話している。根田の番手という絶好の位置がありながら、自力戦を選択するあたりに郡司の自力選手として、そして地元としてのプライドのようなものが感じられる。
そして迎えた決勝戦。立ち回りの巧さを活かして中団を確保すると、最終バックで小森貴大の牽制にも動じることなく脇本雄太の先行をすんなり乗り越え、最後の直線では同県の名マーカー松谷秀幸とのマッチレースを制し、見事に地元GIII完全優勝を果たした。
これで5年連続で地元・神奈川のGIII優勝となった郡司。優勝コメントでも「地元でたくさんの人で大きな声援をもらってその前で勝てて嬉しい」と話す通り、地元ファンの大声援をパワーに変えられるのが郡司浩平という男だ。
後半戦はビッグレースで目立った結果は残せなかったが、最後に控えるのは地元・平塚の大舞台。20年、23年の同舞台で優勝を果たすことが出来なかった悔しさを胸に、今度こそ地元ファンに最高の恩返しをしたい。
郡司の魅力と言えばカマシ・捲りの力強さはもちろんのこと、生粋のマーク屋であった父・盛夫氏の系譜も受け継ぐような番手の大仕事も郡司の強みだ。
その魅力を象徴するようなレースが11月の小田原記念準決勝。前を託した松井宏佑が赤板から果敢にカマシ先行を敢行するが、3番手の小原太樹は橋本強に捌かれ2車での先行体制に。まず、最終1コーナーで酒井雄多が捲り上げてくるが郡司は厳しい牽制でこれをブロック。すると西田優大が空いたインコースを突いてくるがこれも巧みな「戻り」の動きで封じ込める。さらに酒井の番手から切り替えて自力捲りを放つ須永優太までブロックして松井を2着に残し切った。
内を固める3番手がいない状態で、動きの大きいブロックをすることは非常にリスクが高い。しかし、それをいとわずに仕事をする勇気、そして、それでも結果を出す技術の両方を備えている郡司の強さが凝縮されたようなレースだった。
グランプリは単騎戦になるのか、それとも阿部拓真が番手に付くことになるのかはまだ分からないが、経験・実力ともに豊富な郡司ならどちらにせよチャンスは作れるはず。郡司らしさ全開の走りに期待だ。
