2021/10/24(日) 08:00 0 2
日本競輪選手会熊本支部の主催で23日に熊本競輪場で行われた熊本競輪500バンクサヨナライベント。支部長の西島貢司がレース参戦中で参加できない中、副支部長の時松正ら役員5人が運営に携わった。ここでは昨年7月から副支部長を務める時松を中心にイベントへの思い、そして“滑走路”500バンクについて聞いた。
仕切り役を務めた日本競輪選手会熊本支部の副支部長・時松正が目を細めながらイベントを見つめた。
「本来なら10月から工事が始まる予定で、バンクを使えるのが9月までだったんです。それを支部長(西島貢司)が、10月まで使えるように関係各社に頼み込んでくださって。9月までだったら、まん延防止等の影響でこうしたイベントができなかったでしょうね。いろいろな人たちに応援してもらっていたので、こういう形でファンの方に楽しんでいただく機会があって良かった。最後にいい形で終わりたかったし、皆さんに楽しんでもらえてなにより。こちらとしても、いい区切りになりましたね。風はちょっと強かったけど、天気が凄く良くてひと安心でした」。
バンクを歩く、自転車で走るファンの笑顔が時松ら、役員5人の心に刺さっていた。当初は熊本競輪は20年秋に再開予定だった。
「それが延びて延びて…。(地震から)5年半が経って、長かったですね。時間はかかったけど、再開が決まったので。自分もそこまではなんとか頑張っていたい。熊本のベテラン選手はみんな、そう思っていると思いますよ。(再開に向けて)熊本市の皆さんに応援してもらったし、先日の熊本記念も出来過ぎなくらいな結果に終わった。いろいろといい流れが来ていると思っています」。
紆余曲折ありながら、24年の再開が決まった。500バンクから400バンクに生まれ変わるため、来月から本格的な工事が始まる。
「アマチュア時代の高校生のときからバンクに入っていたので、かれこれ30年以上ですよ。“滑走路”は番手が有利とは限らなかった。自力だけじゃなくて、追い込み選手も大変だった。どの位置にもチャンスがあるけど、とにかく力がないと厳しかった。大きさが特徴的なバンクでしたね。なくなっちゃうなんて、嘘みたいですね。この姿が当たり前だったので。こんなバンクは二度と現れないでしょう。寂しさもあるけど、新しいバンクに期待したいです」。
続いて永田修一にも地元の500バンクを語ってもらった。 「直線が長くてクセがある。とにかくお客さんが熱かったですね。感性もヤジも凄かった。見に来てくれた知り合いの顔も見れて、地元ならではって感じでした。なくなってしまうけど、“新しく生まれ変わる第一歩”なので。始まるまでは長かったけど、振り返ったら早かったなあと思えたらいいですね」。
曽我圭佑と福田礼佳も夫婦でイベントに参加。他にも地元選手が、家族と一緒にバンクを走っている姿が見られた。選手だけではなく、ファン、関係者など、それぞれの思いがつまった熊本500バンク。もうすぐ取り壊されてしまうが、思い出は色あせることはない。(netkeirin特派員)