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【共同通信社杯競輪】1着でも複雑な表情を浮かべる鈴木玄人「関東の選手に認めてもらえるように」/二宮歩美の2日目現地レポート

2025/09/13(土) 19:05 0 3

福井競輪は13日、「共同通信社杯競輪(GII)」2日目のレースを開催しました。今回は二次予選Bで1着となり準決勝進出を決めた鈴木玄人選手にケイリン女子部・二宮歩美部長が直撃取材を敢行。1着でも喜べない複雑な心境にフォーカスしました。

 競輪を始めた時に一番最初に覚えた違和感。  それは“1着を獲っても全力で喜べない選手“が存在すること。

 今日も1着を獲ったのに、複雑な表情とコメントでひと際、目を引いたのが7R・9番車の鈴木玄人選手。

7R・二次予選Bを制した鈴木玄人(写真:著者提供)

「後輩の自分が佐々木(悠葵)さんに前を任せてもらえなかったのを変えたいが、“自力自在”の自分のスタイルは変えられないし嘘をつけない。今回いない眞杉選手が見ていたとしても『鈴木は番手だよね』って言われてしまうと思う。強い関東の選手に認めてもらえるようになりたい。今日も先輩の恩恵を受けただけで、『なんで前取らんかったん?』と思われているかもしれない。使い道のある後輩選手になって、先輩が番手を回ってもメリットがあると思われる選手になりたい」

 今回の並びの経緯と、前を任せて貰えなかったことへの悔しさ、レースでの反省点、先輩の後ろから獲った1着への思い、そしてそれを踏まえて自分が今後なりたい選手像とスタイルまで余すことなく、固い表情に強い熱量で終始語っていたのが印象深すぎて…。

 追加で独占取材を決定!(笑)と思って鈴木選手の後位を追走していったら、びっくりするくらい行列ができていて、ベテランの先輩方の取材待ち(動画3本、取材4名待ち!)で私もまだプレスの中では新人で、これから力をつけていかないといけない“ひよっこ”過ぎて、自ら周りに迷惑をかけないように存在を消して、引くに引いて最後方で順番待ち。ぴよぴよ。

 結局、やーっと鈴木選手に直接取材できるようになった頃には次のレースが始まっていたので聞けたのはたった一言。“自力自在に嘘はつけない”としきりに話していたので、『目標や参考にしている選手はいるのか?』を聞いてみた。

“自力自在”で頭角を現している鈴木玄人(写真:著者提供)

「そういう選手はあえて作りません。誰かの真似をするのではなく、自分だけの強みを生かしたオリジナルの選手になることを目指しています。自力で通用しなかった分、自力自在で今、可能性を感じているので、理想としてはラインの先頭ゴール前勝負できる選手を目指します」

 競輪界の順番や序列は私たちの世界でも切っても切り離せない社会のテーマ。みんなに認めてもらうにはそれなりの勉強(練習)、取材のタイミング(実戦&仕掛け)、ポイントを得た質問(取材内容)を磨くために、とにかく己を磨くこと、言い訳しないこと、常に問題は自分の中にあると思ってポジティブに課題に向き合っていくこと、そして柔軟にでもぶれない自分のスタイルを作りあげること。

 鈴木選手は今、勢いのある117期の一人で、今年から初のオールスター(GI)や共同通信社杯(GII)を経て、更にその思いが強くなったとのこと。

 競輪も社会も決して一人で生きているわけではなく、チームや周りの方に支えられて成り立っているからこそ、安易に自分だけが1着や一人勝ちをしても喜べない状況も時にはある。

 これがわかるようになってくるとまた社会人としても競輪ファンとしても、そして人としてももうひと段階レベルアップが始まった合図だと思っているので、鈴木選手のこれからの“確立”に期待したい。

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