検車場に現れた星野はいつもよりも自信のありそうな表情。そんな表情を見せられては聞かずにはいられない。すると星野が口も滑らかに「ここに来る前に宇都宮バンクでみっちり練習をしてきました。しかも見てくださいよ。この大ギヤ。ギヤ比は5.67(68×12)です。たぶんこれがマックスギヤ。今まで誰も競走で使った事がないと思うんですよ。俺が最初の男です！」と語る。

　たしかに、こんなドデカいギヤ比があるとは記者もビックリだ。しかもそんな大ギヤを踏みこなせるのかという疑問も。いぶかしむ記者の表情を見た星野は更に「バンク練習での上がりタイムは何秒だったと思います？ 聞いてビックリですよ。まあ、バイク誘導で出したタイムなので比較はできないですが、中川誠一郎さんが以前に出した13秒1のバンクレコードを大幅に上回る11秒9でした。タイムが出せているんで、自信を持ってタイムトライアルではこの大ギヤで臨みますよ」と、午後に行われたタイムトライアルに向かうことに。

そして注目のタイムトライアルを走り終えた星野の成績は11秒019(200メートル )の11位。

　星野は思ったような結果を出せずにややうつむき加減。ただ、すぐに気持ちを切り替えるとすかさずギヤ比の変更届を出しにいった。「思うような結果が出せなかったし、ちょっと重い感じ。ギヤ比を落として5.23(68×13)にします」と修正していた。とはいえ、今開催は前検日のギヤ変更締め切りまでにギヤ比が5倍を超えていたのは星野のみ。一次予選では、この大ギヤが功を奏すか。(アオケイ・渡辺記者)