2025/08/26(火) 13:00 0 2
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は爆弾を抱えながらも力と経験で魅せた脇本雄太の好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
8月16日、函館競輪ナイターGIは5日目を迎えていた。北の大地での開催は、暑熱対策としては機能していたものの、やはり6日間の戦いは過酷でしかない。脇本雄太(36歳・福井=94期)としては、近いケガとして腰のヘルニアを患っている中で、そもそも体はボロボロになっている。
5日目の4走目。ドリームレース出場の脇本としては、シャイニングスター賞に進み。全部で4走にできれば良かったが叶わず。肉体的な負担がある中、準決は「先行のカードを切るつもりはなかった」が、心が判断した。
レースは後ろ攻めからで、残り2周半のところで前受けしていた太田海也(26歳・岡山=121期)を抑えた。脇本の性格からすれば、そこからレース情勢を分析した上で、先行で勝負になる、と判断したかと思いきや「余裕はなくて、とにかく腹をくくれたことがすべて」と大きく息を吐いた。
3番手のところで外から山口拳矢(29歳・岐阜=117期)が太田を抑え込んでいる。脇本の力と経験を、心が発動させる。結果的には山口をさばいた太田のまくり追い込みが届いたものの、脇本2着、南修二(43歳・大阪=88期)が3着で、ライン2人で決勝進出を決めた。★は4つ。
根っからの先行屋が見せた“禁断のカード”は魂の走りだった。そして決勝は近畿勢が4人となり、寺崎浩平(31歳・福井=117期)のGI初制覇につながった。
脇本は「脚にしびれが出ている」と準決の激闘後に漏らしていた。決勝はできる限りの高いをラインの先頭で披露した。「治療します」。後輩の優勝を称え、またすぐに控える地元福井での共同通信社杯競輪(GII)に向けて、その背中を伸ばしていた。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)