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【128回生データ考察】男子と同様に“記録破り”! 超逸材・酒井亜樹を筆頭に“即戦力”が期待されるザ・ハイレベル・ガールズ/女子編

アプリ限定 2025/03/16(日) 12:00 0 8

今年デビューする競輪選手候補生の卒業を記念して、3月10日〜15日に卒業記念インタビューを6本連続公開した。シリーズの締めくくりとして「127期・128期選手のポテンシャル」を考察すべく男子編・女子編の記録会データ等を振り返る。今回は128期・女子編をお届けする。(構成:netkeirin編集部)

128回生卒記チャンプ・岩元杏奈(写真提供:JKA)

 3月4日・5日に静岡競輪場で「127・128回生卒業記念レース」が開催された。2日間のシリーズでは手に汗握るレースが乱発、最終的に女子は岩元杏奈(宮崎23歳)の優勝で幕を閉じた。シリーズ中は候補生プロフィール資料や記録会データをはじめ、競走訓練における点数、着、S回数、H回数、B回数などの成績一覧表も配布されたが、どの資料に触れても128回生のポテンシャルの高さが浮き彫りになっていた。

酒井亜樹、3連続ゴールデンキャップ獲得だけではない無双ぶり

 卒業記念レース初日プログラム終了後、日本競輪選手養成所から「訓練の概要と成果報告」がなされた。要約は以下のとおり。

【128回生訓練概要】
・デビュー後のレースで即戦力として活躍できる選手の養成
・基礎体力および脚力強化とスピード強化の両立
【128回生訓練概要】
酒井亜樹候補生3連続ゴールデンキャップ獲得と500m養成所記録更新
・適性入所選手・半田水晶候補生のゴールデンキャップ獲得
・記録会2種目(400m、500m)で期別平均タイムの記録更新

 女子は「即戦力として活躍できる選手」と育成方針が共有され、年々上昇するガールズケイリンのスピードに対応できる脚力強化に主眼を置き、それらを前提に訓練が行われたとの発表内容であった。男子(127回生)と同様に高いレベルで成果を上げられ、自転車経験の浅い候補生に関しても著しい成長が見られたとのこと。

 まず最初にご紹介するのは酒井亜樹のデータ。酒井は養成所に入所する前からナショナルチームで活動しており、すでに実力は折り紙つきで特別視されていたことだろう。向けられる期待やプレッシャーも跳ね除けて第1回〜第3回の記録すべてでゴールデンキャップを獲得した。

酒井亜樹の記録会データ

記録会200m400m500m2000m
第1回11”9624”4436”162’41”19
第2回12”2024”5236”382’40”29
第3回11”9925”4235”93(新)未実施

 これらの記録でゴールデンキャップ3連発だったわけだが、得意とする500mTTではラスト第3回の記録会で35秒台のタイムを打ち出して養成所記録を更新している。過去5期分の記録会データ500mTT個人トップ5と比較したものを参考データとして記載する。

128回生126回生124回生122回生120回生118回生
酒井
亜樹
35"93
仲澤
春香
36″50
松井
優佳
37″24
又多
風緑
36″69
山口
真未
36″05
増田
夕華
36″29
半田
水晶
36"45
大浦
彩瑛
36″61
熊谷
芽緯
37″40
安東
莉奈
36″95
吉川
美穂
36″16
永塚
祐子
37″33
岩元
杏奈
36"72
中島 瞳
37″40
高橋
美沙紀
37″79
畠山
ひすい
37″19
飯田
風音
37″09
岡本
二菜
37″35
岡田
優歩
36"80
豊田
美香
37″52
神戸
暖稀羽
37″81
小泉
夢菜
37″69
高木
香帆
37″56
永禮
美瑠
37″47
西田
美菜
37"08
伊藤
優里
37″63
宇野
紅音
37″83
河内
桜雪
37″79
太田
瑛美
37″64
尾方
真生
37″62

 そもそも35秒台は酒井のみだが、36秒台前半のタイムを出した選手をカウントしても16%であり、20%にも満たない。加えて、酒井は第1回(5月)、第2回(9月)、第3回(12月)で安定的な記録を出しているので、季節に左右されずに実力を発揮できる点でも強さが光る。今はナショナルチームで鍛えており、さらに脚力は向上していくだろう。ガールズケイリンのレーサーとしても自転車競技選手としても、日本を代表する選手に成長していくに違いない。

酒井亜樹の目標「ガールズケイリンを代表する選手になりたい」(写真提供:チャリ・ロト)

 ちなみに酒井は突出したタイムだけではなく、競走訓練でも驚異的な成績を残している。全53走のうち、1着は33回、2着は14回、3着は6回、着外はなんとゼロ。53走して1度も確定板を逃さないのだから、“酒井無双”と表現しても差し支えないだろう。また128回生の在所成績トップ3の点数は全員80点台を超えており、以下の成績で卓越している。

選手名出走数勝率連対率3連対率着外数
酒井亜樹5362.2%88.6%100%0
北岡マリア6858.8%82.3%92.6%5
岩元杏奈6653.0%75.7%90.9%6

 上位3名ともに3着以内は堅く、それぞれ安定感が際立っている。北岡マリアは第1回〜第3回記録会のすべての候補生のベストタイムでランキング化したデータで見るとどの種目でもトップ3には位置していない(200mは12秒14で5位)。「タイム順位でレースは決まらない」という事実を体現している選手と言えるだろう。瀧澤所長はじめ周囲からは「高いレースセンスの持ち主」と太鼓判を押されているそうだ。本人が公言している得意戦法は『捲り追い込み』とのこと。

高水準の脚力に加え卓越したレースセンスが武器の北岡マリア(写真提供:チャリ・ロト)

 また卒記クイーンに輝いた岩元杏奈は500mTTで3位、2000mTTで2位のタイムを誇っている。卒記レース決勝では勝負強さを示したほか、動きの少ない予選レースでは自ら積極的に動き、かと思えば飛びつきでの組み立ても難なくこなしていた。会見では「宮崎の競輪認知度を高められるように」と地元への思いを語り、「体は小さいがレースは大きく」と気概あふれる勝利者コメントを残している。在所成績&卒記表彰台の3名は本デビュー後に期待大だ。

宮崎出身ガールズ岩元杏奈は「卒記チャンプ」の称号を手に入れた(写真提供:JKA)

期別平均最高タイムを400mと500mで更新

 男子127回生は全種目で平均タイムの歴代記録を塗り替えたが、128回生は200m、400m、500m、2000mの4種目のうち400mと500mで歴代記録を更新した。

種目新記録これまでの記録
400m25秒6425秒70(126回生)
500m38秒1438秒23(120回生)

 また200mと2000mでも高水準のタイムを打ち出しており、歴代最高記録に迫るタイムを残している。

種目歴代最高平均タイム128回生
200m12秒43(118回生)12秒49(第3回記録会)
2000m2分46秒01(112回生)2分47秒50(第2回記録会)

 歴代最高記録こそ更新できなかったが、直近3期と比較すると、全種目で勝る好タイムを打ち出した。「即戦力」を掲げる養成所が「男子同様に高い成果をあげた」と発表するのも大いにうなずける。

円盤投げから転向した半田水晶、200mTTトップの西田美菜

 続いて適性入所での注目選手を2名ピックアップしたい。まずは卒記レースで果敢な先行策で戦い抜いた半田水晶(はんだ・みずき)。陸上は円盤投げの出身で、2022年全日本実業団で3位となっている実力者。自転車経験は5ヶ月での入所だったが、急成長を遂げ、第3回記録会ではゴールデンキャップを獲得している。第1回〜第3回記録会の全候補生のベストタイム比較で半田は以下のタイムを残している。

種目タイム順位
200mTT12秒093位
400mTT24秒532位
500mTT36秒452位

 400mおよび500mの半田のタイムは126、124、122回生であればトップタイムである。また、競走訓練では先行主体の組み立てを確立しており、H回数42回、B回数49回は128回生の中でトップ回数を誇る。卒記レースのインタビューでは「円盤投げの経験が生きており、パワーは特に活用できる」と異競技異種目で培った武器に自信を見せた。「先行のスタイルを磨きたい」と戦法に迷いもなく、デビュー後も主導権は譲らぬ姿勢で走るだろう。

先行に迷いがない半田水晶、卒記レースでもダイナミックな走りで主導権を譲らなかった(写真提供:チャリ・ロト)

 もう一人紹介したいのが半田と同じ適性組の西田美菜だ。西田の在所成績は21人中17位である。内訳は以下のとおり。

選手名出走数勝率連対率3連対率着外数
西田美菜585.1%12.0%22.4%45

 西田は入所時にインタビューを実施したが、「丁寧な練習を心がけたい」と話をしており、自転車の扱いに苦戦していることも教えてくれた。しかし、西田は養成所生活でタイムを伸ばし、どのタイムでも上位に位置している。特筆すべきは200mTTで、この種目では128回生トップの記録を誇っている。

種目タイム順位
200mTT11秒941位
400mTT24秒763位
500mTT37秒085位

 西田は「養成所時代の着は関係なし」とばかりに自身の戦法にこだわり抜いて“丁寧に練習”していたのかもしれないし、レースの組み立てに苦戦していたのかもしれない。いずれにせよ、エリート集団の中で200mの最高タイムを持ち、競走訓練ではS回数34回とダントツの数字を残している。それでも在所成績は17位。面白く不可思議なデータを残した西田の本デビューが楽しみで仕方がない。

128回生で200mTTトップタイムを打ち出した西田美菜、憧れの選手に日野未来の名を挙げている

競輪ルーキーシリーズ2025スケジュール

 今回は127期、128期としてデビューするルーキーの「卒業記念インタビュー」と男子・女子のデータ考察を1週間連続シリーズでお届けしてきたが、注目したくなる選手は見つけられただろうか? さいごに5月から開催されるルーキーシリーズの日程をお知らせして記事を締める。競輪ファンのみなさま、“最強集団”の走りをぜひ楽しみに待ちましょう!

スケジュール開催場開催時間帯
5月2〜4日熊本競輪場デイ開催
5月9〜11日別府競輪場デイ開催
5月16〜18日いわき平競輪場ナイター開催
5月23〜25日四日市競輪場ナイター開催

(※記事中における競走成績のデータは2024年9月23日〜25年2月26日「競走成績戦法別一覧表」を参照)

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