2021/08/22(日) 12:00 1 14
全国の競輪ファンの皆さん、そしてnetkeirinをご覧の皆さん!こんにちワシコー!暑い日が続いていますが、体調管理に気をつけながら競輪を楽しんでいますか?
自分は8月11日に西武園F1開催で落車棄権...その際に左鎖骨を骨折して長期欠場を余儀なくされました。やはり人生は良い事ばかりではないという事を痛感させられながらも、それでもまた良い事があると信じて復帰に向けてリハビリを続けている最中です。復帰戦はまだ未定ですが人生山あり谷あり、良い事も悪い事も受け入れて頑張っていきたいと思います。
さて『netkeirin』2回目の登場となる今回は、普段の何気ない出来事は競輪にも繋がるという事、ファンの皆さんの車券予想に重要なコメントについて、そして現在と未来の競輪界について少し話をしたいと思います。
「好きな男性のタイプは?」
「明るくて面白い人です♡」
20代の頃、女性に飲みの場でこの言葉を言われて、何度その気になって飲んで歌って盛り上げて、その結果1人でラーメンを食べて帰ったか自分でも数え切れない。
目に熱いモノが溢れて流れ落ち、涙でショッパくなったラーメンを1人ですすりながら、何がダメだったのかをずっと考えていたが、ある日一つの答えに辿り着いた。それは女性の本音を見抜けなかった "自分自身の未熟さ" だった。
上辺だけの言葉を信じてその気になった自分...その女性がこれまでどんな生き方をしてきたのか聞きもせず、都合の良いように解釈してしまった自分が全部悪いのだと。
昔、自分の心の師匠である荻原尚人(宮城・89期)先生が言っていた。
「お前の為に女性がいるんじゃねぇ。女性の為にお前がいるんだ」
完全にスラムダンクの安西先生のパクリだが、それからは自分の浅ましい考えを捨てて女性に対して敬意を払い、女性から好かれようが好かれまいが、それが "結果" なのだと受け入れられるようになった。
荻原先生の言葉がワシコーの心に刺さったエピソードだったが、この話を思い出した時にこれは競輪ファンも同じ気持ちになった事があるのでは? と思った。
選手がレースに向けて新聞記者によく言うコメントがいくつかあるが、
【先行基本】→ 8割方先行をする組み立て
【 自 力 】→ 先行か捲りか捲り追い込み
【自力自在】→ 先行、捲り、捌きと何でも
【 前 々 】→ 最終Bで中団以内にいる競走
などのコメントを選手はよく使う。
ところが実際は「自力」とコメントをしたのにガンガン他のラインを分断したり、「前々」とコメントをしたのにずっと後ろで脚を溜めている選手がいる。
「言ってる事とやってる事が全然違うじゃねーか、○ケ!○ホ!○ス!この○○○!」
こう思ったファンの方は必ず何人かいると思うし確かにその通りだと思う(○○○はお好きな野次の言葉をどうぞ)
コメントはファンが予想する上で最も重要と言っていいぐらい大事な情報です。選手はそのコメントを出した以上はそうするべきだし、そうしないとファンも納得しない。だがコメントというのはあくまで意思表示であって実際そう出来るかどうかは別問題だという事を頭に入れておいてほしい。
決して言い訳ではないが選手も博打の駒である前に一人の人間です。前日に「先行基本」とコメントをしても、次の日に爆風が吹き荒れたら仕掛けを遅らせる時もあるでしょう。
「前々」とコメントをしてもそのレースで同じような走り方をする選手がいたら、バッティングしないように後方待機になる時もあるでしょう。
でもこれだけはわかってほしい。選手はコメント通りに走れなかったとしても、1着もしくは3着以内に入ってファンへの車券に貢献する事だけを考えて一生懸命走っているのだと。
競輪は公営競技の中で最も深いモノだと言われており「ギャンブルの終着駅」とも呼ばれている。その最大の理由は、馬の力でもボートの力でもオートの力でもなく "人間自身の力"で走るからである。
そして何より走っている選手の "気持ち" によって結果が大きく左右されてしまうという所が一番難しく、だが逆にそこが一番面白い部分だとも言える。
選手は自分の生活を懸けてレースに挑んでいるがそれは当然ファンも同じだ。自分さえ良ければ良いというレースをした選手を見たら、荻原先生はいつも心の中でこう思っていると言う。
「お前の為にファンがいるんじゃねぇ、ファンの為にお前がいるんだ!」
またまた安西先生のパクリだが、確かに荻原先生の言うように、選手は自分のコメントに対してもっと責任を持って走らなければいけないと思う。
だがそれと同時に競輪ファンにも選手のコメントはあくまで意思表示であり、本当に大事なのは【選手の本質を見極める】という事なのだと理解してもらえたら有難いし、また違う見方で競輪が楽しめるのではないかとも思う。
競輪の世界では選手もファンもうまくいかない事の方が圧倒的に多い。それでもうまくいった時の感動が忘れられないから、みんな頭と身体を使って頑張り続けている。
もし選手もファンも、うまくいかなかった理由を "自分自身の未熟さ" と少しでも捉える事が出来たら、それぞれの走り方や賭け方が徐々に納得出来るモノになっていくのではないかとワシコーは思っている。
G1、G2、G3、F1、F2、ガールズ...
9車立て、7車立て、時には5車立て...
今競輪界はコロナウイルスの影響もあって「変換期」を迎えており、様々なランク、人数、レース形態によって全国各地で熱戦が繰り広げられている。選手は車立の数が変わると走り方で頭を抱えて、ファンはその日どのレースを賭けようか頭を抱えていると思う。
だが今が「変換期」であるという事は、いつかは必ず「安定期」が来る。何事も時間が解決するとはよく言ったモノで、始まりがあれば終わりが来るし、終わりが来れば始まりがある。現時点で10月から開催予定となっている「250競輪」の準備も着々と進んでおり、また新しい形の競輪が始まろうとしている。
"古き良きもの"を残そうとする譲れない信念も確かに大事だが、時代の進化にしっかりついていって "新しいもの" を受け入れられる柔軟性と適応能力も、これからの時代には必要になってくるのではないだろうか。(新しいものが古き良きものより面白いものに限る)
9車のレースでは常に前々へと攻めて「作戦はとにかくガッツを出すだけ」と言っていた頑固者の荻原先生でさえ、最近の7車のレースでは「ガッツを出さない事も作戦の内」とレースの組み立てに変化をつけて色々と試行錯誤をしている。
今回の落車でワシコーも「あの選手がこうして、あの選手がこう動いていれば...」と最初は思ったが、その全てを人のせいにするのではなく「あの時自分がこうしていれば」「こうなる事も考えていれば」という広い視野で競輪と向き合って、人間として成長していく事の方が大事だと思った。
上に記したように現在の競輪の形は様々だが、それを「統一されていない」と思うのではなく「色んな競輪が楽しめる」という広い視野でファンの方にも競輪を楽しんでもらいたい。そして選手とファンが共に成長して、今よりもっと競輪を楽しめる業界になっていけばそんな嬉しい事はない。
東京オリンピックも終わって一年が目まぐるしく進んでいく。ナショナルチームのメンバーも日本の競輪に戻ってきて、これからの後半戦はさらに熱いレースが繰り広げられるだろう。ワシコーも早く復帰してファンからの熱い声援を貰えるように、また一から鍛え直して後半戦は活躍出来るように頑張りたいと思います!