2021/07/13(火) 17:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がGP・GI・GII・GIII・FI・FIIのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
今回は先日記念優勝を果たしたあの選手の好プレーをピックアップ。前田睦生記者の直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
6月岸和田競輪場で開催された「高松宮記念杯競輪(GI)」を制した宿口陽一(37歳・埼玉=91期)が、GI覇者としての初出走に挑んだ、注目の一戦。得意のまくりで勝ちにいくものと思われた。
…しかし「GI優勝者」、「タイトルホルダー」としての戦いぶりがあった。
宿口はGI制覇後「まだグランプリを走れるような選手じゃない。そんな選手に近づけるように」と話していた。その言葉を走りで体現した。
打鐘で坂本貴史(32歳・青森=94期)を叩いて先行態勢に入る。
「この場面で先行勝負なのか…」。熱い、熱いよ。
坂本もかなりの踏み込みだが、強引に叩く。すかさず仕掛けてきた堀内を1角で宿口をマークしていた坂口晃輔(30歳・三重=95期)がヘッドバットでブロック。坂口の胸にも、宿口が駆けている意味が突き刺さっていたのだろう。
懸命に踏み続け、粘る。愚直な走りだ。
GIを勝った後だからといってかしこまることもない。勝った後だからこそ、まだ自分に足りないものを埋め、“赤いパンツがふさわしい男になる”そんな決意表明の先行だった。
逃げ切り勝ちには驚いたが、“宿口陽一という男”が怖さすら備えた瞬間だった、という点に★5つの評価。あの立場で挑戦する姿は、どんな競技、種目、ひいては人生においても尊い姿勢だ。
準決勝も強烈だった…。あんな脚、誰が持っているだろう。もう、ふさわしいんじゃないか…グランプリ選手。決勝はあまりにも難しい構成だったが、その中で泥臭く攻め抜いた走り(それでも強かったが)は、見ている人に訴えるものがあった。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)