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【松山競輪】ラインの美しさを見た、心に響く一戦

2021/06/06(日) 11:30 0 5

松山競輪場のミッドナイト競輪「チャリロト杯」が6日に2日目を迎える。初日3Rを走った中四国トリオに話を聞いた。

職務を全うした伊藤貴史

 これぞ、ラインの戦いだ! と胸を張れる"競輪競走"を伊藤貴史-池内吾郎-谷尾佳昭が体現した。伊藤が後ろ2人に気を遣った慎重な先行策に出ると番手両者は追随。この「気を遣う」ことが難しく、絶妙な加減で走らないと後ろが離れたり、相手選手に飛び付かれたりしてしまう。伊藤は先行で長年戦っている高知のいごっそう(頑固で気骨のある男を意味する土佐弁)。人情競輪のあたたかい部分をよく知っている。

 番手の池内吾郎は現在、代謝候補の中にいる。期ごとに毎回30人、強制引退をさせられる現行ルールがある以上、生き残りをかけて毎レース必死に挑んでいる。伊藤としては「お役に立てれば」の気持ち。実際に前回の別府2日目には、池内と同じく代謝候補に位置している山中隆(香川)の前で駆けて2着に送り込む激走を展開した。ともすれば、自分が代謝の対象となってしまう危険をはらんでおり、ブンブン駆けるのには大変リスクを伴う。
それでも駆けたのは先行屋としてのプライドに、根っからの人間の良さがあってこそ。で、なければ「先輩たちを助けている? いや、こういうレースは自分が助けられているんですよ」なんて言葉はいえない。

 結果、池内は伊藤マークから抜け出し1着をゲットして点数をアップさせた。「こんないい展開、久しぶり。うれしいですよ、しかも地元で」とわき立つ、約2年ぶりの1着だった。

ラインの番人役を務めた谷尾佳昭(左)

 そんな2人のやりとりを見守っていたのは3番手を固めた谷尾佳昭だ。この人もやさしく気骨のある選手。「もう大変。吾郎チャンの緊張感がこっちにも伝わってきた。伊藤チャンも緊張していたじゃろう。2人とも脚が回っていなかった。だからワシ、だいぶ仕事したわ。だけど、持っていくとしゃくられるし、激しくやれない。待って、待って、待ってから踏んだ」と、2着をキープし優しく笑った。

 伊藤は自分の職務をまっとうし、池内は代謝回避というテーマを掲げて勝利し、谷尾も持ち場を守りラインの番人役を務め上げた。清水裕友-松浦悠士-小倉竜二のワンツースリーもいいけれど、こちらの確定板ジャックもなかなかカッコいい。(netkeirin特派員)

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