2023/05/08(月) 17:00 0 15
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは4日に行われた「日本選手権競輪(GI)」の3日目で小原太樹が見せた3番手の必殺技です。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
平塚競輪場の「第77回日本選手権競輪(GⅠ)」の3日目(4日)の二次予選9Rで残像映える好プレーがあった。小原太樹(34歳・神奈川=95期)の3番手の走りだ。前受けから突っ張って2周駆けた深谷知広(33歳・静岡=96期)も当然のファインプレーなのだが、今回は3番手の走りに注目してほしい。
最終BSを前に小原は車間を切り、後続を見据える。前の2人に危害が及ばないように、それでいて自分の着も確保する。
かつてこのプレーの名選手がいた。“三住博昭(54歳・神奈川=61期)”だ。
タテ脚があるので、3番手でこの仕事ができる。“三住スペシャル”と呼ばれる3番手の必殺技だ。深谷、そして番手の松坂洋平(40歳・神奈川=89期)を守りつつ、3角から4角にかけて迫ってきた嘉永泰斗(24歳・熊本=113期)に合わせて踏み込んでいく。
小原は「自分も三住さんにやってもらってきたので」と、大先輩の技を繰り出せたことに笑顔を見せていた。川崎グループの長として、選手をまとめ、アマチュアを育て、豪快な笑顔で川崎のムードを作ってきた。
南関を引っ張り続けてきた松坂に対し、また奮迅の走りを繰り出す深谷に対し、自分のできることをすべてやってのけた。3人で準決の切符を手にする★4つの好プレーだった。
GI、それも競輪ダービーの二次予選という熾烈な場において披露したことの意味は大きい。今回、南関勢は決勝に勝ち上がれなかったが、誰もが、誰かが、の思いがこれからにつながっていく。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)