2021/05/19(水) 20:00 0 2
金子が前期A級戦では無敵の強さを見せつけ9連勝でのS級返り咲きを果たし、一発目の川崎(ジャパンカップ・報知新聞社杯)を走り終わった後に事件は起こった。「街道練習中の事故です」と本人が言うように、12月の川崎の後に135日間に渡る長期欠場を余儀なくされた。
「1人で街道を走っていたんですが、ちょうど交差点に入った時に、こちらは青信号だったんですが左側から車に突っ込まれてしまって…。転んだ瞬間は脚がまったく動かなくて『ああ、終わったな』って選手引退が頭によぎったんですよ。その後はすぐに病院に運ばれて、背骨と左手首を骨折という診断。医者からも2ヶ月は絶対安静と。ただ入院生活は性に合わないから2週間で退院して自宅療養をしたんですが(苦笑)。とりあえず命があって良かった。一歩間違えれば選手引退どころか死んでいましたからね」と語る。
たしかに、その金子の事故の後に間もなくして成清龍之介が街道練習中の事故(2月24日)で亡くなるという痛ましい出来事もあった。選手は競走中でも、競走外でも死と隣り合わせ。それだけに復帰戦の函館(藤巻昇杯争奪戦)最終日の1着は相当嬉しかったようだ。「自分の先行1車で、番手は競り合い。メチャクチャ展開に恵まれての1着でしたが、本当に走れるのかなと不安だった分、ホッとしたというか、また走れるっていう喜びがありましたよ」と噛みしめながら語ってくれた。
まだ左手首にはボルトが入ったままだと言うが、「しばらくはまったく手首が動かなかったけど、今はこんなに動くようになりました」と左手首を上下に動かす動作もまた明るい表情。生還を果たした男が、今度はGIIIの舞台でどれだけ走れるのか注目だ。(アオケイ・渡辺記者)