2021/05/18(火) 19:00 0 6
平原の欠場で清水裕友が中心となる
「三山王冠」は昔から伝統のある大会で、数々の名勝負が繰り広げられてきた。来年は「親王牌」が前橋の舞台に戻ってくるので、この王冠の称号は、非常に価値がある。無観客での開催は残念だが、多くのビッグネームの名前がある。本来シリーズリーダーは、関東のGIIIなので微笑みの貴公子・平原康多だったが、日本選手権の落車の影響により欠場。
そこでS級S班の責任感からも清水裕友が中心となる。今年はすでに松阪のウィナーズカップで優勝。盟友・松浦悠士との連係は、歴史に名前を刻むタッグになってきた。直前のダービーでも松浦の優勝に貢献しており、今後のGIは、松浦、清水の並びになる可能性が高い。
前橋ドームは2018年の親王牌で初めてGIのファイナルまで行った思い出の競輪場。脇本雄太相手に全く歯が立たなかったが、今の清水の原形がそこにある。中・四国ラインで太田竜馬なら番手を回るが、その他のメンバーの時は自力勝負だ。
グランプリユニフォームがプレッシャーになっている和田健太郎だが、番組の恩恵を受けている。静岡に移籍した深谷知広とのコンビも板に付いてきたし、今シリーズは山中秀将、鈴木裕、渡辺雄太との連係になる。
復活を誓う、地元の木暮安由
地元の木暮安由も復活に向けて懸命だ。悲壮感ある姿は性格的に見せないでいるが、この地元記念に対する思いは誰よりも強い。平原不在は、関係者共々、木暮にとってもかなり痛い。後輩の佐々木悠葵、小林泰正、中島将尊、蕗澤鴻太郎、恩田淳平らの力を引き出すのも大切な仕事になってくる。
北日本は渡邉一成、山崎芳仁が原動力になって、成田和也が番手でアシストする。3人共に力は衰えず、渡辺は当地の2017年の親王牌、山崎は2008年の親王牌と2012年のオールスターで優勝している。山崎の戦法でドームで実績があるのは意外。
中部は竹内雄作と吉田敏洋、近畿は山田久徳と東口善朋の連係が中心だが、決勝戦で勝つまでは厳しいかもしれない。ただ、竹内はダービーで復調を印象づけている。
中四国は小倉竜二と渡部哲男が清水裕友の番手を回り、芸術的な仕事が見込まれる。
九州の山田英明はタイトル奪取に燃えている
九州のビッグネームは山田英明。悲運な男のイメージがついてきたが、タイトル奪取に向けて、命を削るようなトレーニングをやっている。援軍は少ないが、混戦を演出すれば一発可能だろう。2班の若手も注目選手が多く、一次予選は面白いレースになりそう。脇本勇希、南潤、鈴木陸来らは確実に勝ち上がってくる。
あとは地元の有望株、佐々木悠葵には“完全ブレイク”を望みたい。そうすれば地元ファンがドームに集まり、満員になる日も夢ではない。それが群馬王国復活に向けての道でもある。(町田洋一)