2023/03/24(金) 12:00 0 6
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは21日に行われた「ウィナーズカップ(GII)」の決勝で松浦悠士が見せてくれた悔しさを吹き払う好プレーです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
別府競輪場で「第7回ウィナーズカップ“オランダ王国友好杯”(GII)」が開催された。最終日の3月21日、12Rの決勝で松浦悠士(32歳・広島=98期)が復活の優勝を遂げた。年頭に体調を崩してから苦しい一年の始まりとなっていたが、復活した。
決勝はある意味で“松浦らしくない”ものだった。
レース後のコメントでは「脚をためること」に集中したという。これまでは、レースを動かし、自分で展開を作って、が主流。しかしこの決勝では“動かない”ことに賭けた。
最大の要因は近畿コンビが古性優作(32歳・大阪=100期)ー脇本雄太(34歳・福井=94期)の並びになったことだろう。「古性が何かする」ことを予測し、その後に勝機を見出す。
静かに、それに賭けた。
想定通りに北日本が駆けたところを古性が巻き返していく。あとは、勝てるかどうかーー。チャンスは一度だけ訪れた。最終バックで古性と新田祐大(35歳・福島=90期)が絡んで新田が落車してしまう。
わずかに空いた脇本の内。これは番手戦が慣れない脇本だから、というよりもどうしても空いてしまうところだろう。それでも、慣れない脇本が隙を見せるのでは…が松浦の頭の中にあったと思う。
頭を動かし、心身を研ぎ澄まし、そして「苦しい戦いだった」という年始からの悔しさを吹き払う好プレーだった。
★は4つ。最高峰の戦いで見せた執念の一撃。泥臭く戦う松浦の姿が、別府バンクを沸騰させた。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)