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【今週の競輪好プレー】三谷将太 “そこのけそこのけ、将太が通る”/奈良GIII・S級決勝

2021/05/06(木) 06:00 0 2

東京スポーツの前田睦生記者がGP・GI・GII・GIII・FI・FIIのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
今回もあの選手悲願のVをピックアップ。 前田睦生記者の直筆解説と一緒にぜひご覧ください。

5月2日、奈良競輪場で開催されたGIII「施設整備等協賛競輪 秋篠賞」のS級決勝11レースーー

今週の好プレーに輝いた三谷将太(撮影:島尻譲)

 三谷将太(35歳・奈良=92期)が鬼の強襲を見せ、悲願の地元記念V!
デビューは2007年7月。GIII優勝はない。“地元でGIII制覇を”の思いは誰よりも強く、何度も挑んできた。

 その執念で奈良記念の決勝には、過去ほとんど乗ってきた。最高成績は2017年2月の大会で弟・三谷竜生(33歳・奈良=101期)優勝の兄弟ワンツーだった。記念の兄弟ワンツーは全き快挙。喜びつつも、“オレが優勝を…”と思い続けてきた。しかし、昨年夏から半年近い欠場。手術しないと体は治らない。病室は、光の見えないトンネルのど真ん中。

突っ張り先行で飛ばした、新星・石原颯(撮影:島尻譲)

 決勝は中西大(30歳・和歌山=107期)に前を任せた。新星・石原颯(21歳・香川=117期)が前受けから突っ張り先行で飛ばす。ペースも抜群。中西の残り1周からの巻き返しは、即不発。将太は最終BSから自力に転じた。石原の番手にいた福島武士(35歳・香川=96期)が後ろをけん制する隙をついて、2センターから内に潜り込む。

「オレや! 」。オレの通る道は、オレが通る道。
随一の負けん気の強さで、優勝のための道を突き進む。4角石原も苦しいか、わずかに外に膨れたところをさらにイン強襲。「そこしかないやろ」。残っていない脚を振り絞り、直線では石原をはじいてハンドル投げ。地元奈良のバンク、残り半周を“そこのけそこのけ、将太が通る”で貫いた。

 今回の好プレーの肝は、4角最後の強襲ではない。中西が不発になった後、自力に転じた部分だ。後ろに鷲田佳史(37歳・福井=88期)がいたこともあるだろう。番手を回っている責任感から、中西不発後、より前へと攻めの気持ちで脚を動かした。現在の単純な脚力でいえば、長期欠場の苦労、復帰後、今回の前3走を見れば、あの距離を踏み切れるかは厳しかった。

 手術を乗り越え、長期欠場の精神的なつらい面も克服、地元という舞台、を考えると★5つ級の評価でもと思うが、「5つはつけ過ぎやろ! 」と言われそうなので、★4つとしたい。それにしても石原のすさまじい先行力は、いったいこの先、どこまでいくんだろうか…。

すごいで賞=星★★★★☆

▼奈良競輪 5月2日11Rの結果はこちら
▼前田節満載のコラム「前田睦生の感情移入」はこちら

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