目標の山崎芳仁が内の蒔田英彦をキメ、5番手を確保したがそこからは不発。それでも最終2センターで空いた内を突っ込んだ阿部は「山崎さんがダービーを獲ればグランドスラム達成っていうのは自分も知っていました。それだけに残念な部分はあります。最後は無我夢中で踏みましたが、まさかアタマまで行っちゃうとは思わなかった。自分で言うのはアレですけど、凄い伸びでしたね。ああいう内を突っ込むのは好きなんですよ」と話しながら、神妙な面持ちからニコニコ顔に変わる。

「日大の自転車部出身。もっとも中退して競輪学校に入っちゃいましたが。だから、この京王閣バンクはその時から走り慣れたバンク。地元バンクって言ってもいいくらいですよ。学生時代は内なんて突っ込んだら、厳しい先輩から怒られたけど、今は自分みたいな格下選手は最短距離を突っ込んでナンボですから(苦笑)」。

　更に「グレードレースは2年前の向日町記念を獲らせてもらっているけど、その後は全然ですからね。さすがにダービーを獲るというビッグマウスはできませんが、目立たずにコッソリ突っ込んで、少しでも上で走れれば。準決あたりでアレっ、阿部なんているのって感じで名前を覚えてもらえれば」と控え目な物言いだったが、目つきそのものは真剣。二次予選も一発やってくれそうな雰囲気を漂わせていた。(アオケイ・渡辺記者)