2021/05/03(月) 07:00 0 4
年間6Rある特別競輪の中でも日本選手権競輪は一番格式の高い大会と言われており、優勝賞金6956万円は夢のある金額。準優勝でも他のGIの優勝と同じくらいの高額賞金が貰えることもあり、トップ選手はみんなここに照準を絞って仕上げてくる。
もし全国の競輪ファンに『今一番強くて信頼できるのは誰?』と聞いたら、多くの人が松浦悠士の名前を挙げることだろう。1月の和歌山記念(岸和田キング争覇戦)を皮切りに、よくもまあここまで…と全国各地で走りまくっているが、そんな過密日程の中でも今年はすでに4度の記念競走を優勝。川崎の全日本選抜(読売新聞社杯全日本選抜競輪)や松阪のウィナーズカップもきっちり決勝に乗っている。脇本雄太、新田祐大、深谷知広といったナショナル組がいないのも追い風で、ここは磨き上げられた極上のスピードを存分に披露する。
清水裕友も有力なV候補だ。松浦とのゴールデンタッグはもはや説明不要で、全盛期の平原康多-武田豊樹と同じかそれ以上の凄味がある。2人が連係するとかなりの確率で後ろを回った方が1着を取っているし、もし決勝戦で松浦-清水の並びになれば、清水が◎(本命)でV最短となる。
この2人と同等の評価は全日本選抜(読売新聞社杯全日本選抜競輪)を優勝してグランプリ出場一番乗りを決めた郡司浩平。新しく仲間になった深谷がいないのは痛手だが、自力番組でも全く問題ないし、むしろ変に気を遣わなくていいから本人的には大歓迎かもしれない。はまったときの捲りの威力は松浦や清水を上回る。
関東代表の平原康多も間違いなく優勝争いに食い込んでくる。直前の西武園記念は準決敗退で途中欠場となったが、自分のミスというより、任せた森田優弥が捲り不発の共倒れだし、大きなショックはなさそう。ここまでにはきっちり修正して100%の状態に持ってくるはず。
平原との連係が見込める地元の鈴木竜士も今回は大チャンス。年初の立川記念(鳳凰賞典レース)では初日特選、準決と平原を差しているし、この人は自力より番手のレースの方が合っている。
ここからは地域別に見ていきたい。
北日本地区の主軸はSSの佐藤慎太郎と守澤太志だが、両者共に追い込み選手で、展開に左右されそう。鍵になるのは新山響平、高橋晋也といった若手の“特攻隊長”2人。これに渡邉一成や山崎芳仁が番手を回れば、他地区の強力ラインとも十分勝負になるだろう。
関東地区は先ほど挙げた平原、鈴木竜のほかにも、“ファイター”諸橋愛、“サーカス走法”の鈴木庸之など個性派揃い。いずれも一線級で戦える逸材揃いで他地区からすると脅威の布陣といえる。
南関地区は大エースの郡司が引っ張っていく。機動型では岩本俊介、根田空史、野口裕史など力のある選手が揃っているが、GIになると「名前負け」してしまうのか、GIでは目立った活躍を残せていない。ただ、追い込み陣ではグランプリ王者の和田健太郎に内藤秀久、岡村潤あたりが虎視眈々と狙っており、強力な地区ではある。
中部地区で勝負になりそうなのは浅井康太くらい。浅井にとって当地は2015年のグランプリで優勝している相性のいいバンクだ。
近畿地区も脇本が不在で戦力的に厳しいが“浪速のド根性レーサー”古性優作が元気いっぱい。デビューからずっと暴れん坊スタイルで売ってきたが、最近はそれほど暴れていない。同級生の松浦や郡司のようなスマートな走りが増えており、長い距離も踏めるようになってきた。
中四国地区は松浦、清水を筆頭に自力選手も追い込み選手もみんな元気。“ハンドル投げ名人”の小倉竜二はいつまでも若々しいし、ずっとこの地区を引っ張ってきた原田研太朗もそろそろ恵まれたい。他にも太田竜馬、島川将貴、佐々木豪、松本貴治など爆発力のある選手が大勢いる。
九州地区は粘っこい走りが持ち味の山田英明に期待が集まるが、GIの準決・決勝クラスになるとスピードが少し足りない気がする。逆に、気分屋で超ムラだが、中川誠一郎や北津留翼の方が「大物喰い」の可能性があり惑星的な存在になるだろう。