2025/11/17(月) 16:00
第67回朝日新聞社杯競輪祭G1が、19日より小倉競輪場にて6日間のシリーズが幕を開ける。今年もこの競輪祭がKEIRINグランプリ出場権争いをしめくくる最後の一戦となる。すでに出場権を確保している選手、ボーダーライン付近で賞金争いから目が離せない選手、そして一発逆転をかける選手など、全選手がそれぞれの思惑を胸に、小倉ドームの発走機につくことになる。今回も前半戦はオール予選のポイント制、後半戦は着順位による勝ち上がりで、一時も気が抜けない6日間の激戦が予想される。いよいよ、2025年のG1戦線もラストを迎える。24日の決勝で、すべてが決まる。
◆初日の出走表(19日更新)はこちらでチェック
◆11月17日現在の賞金ランキングはこちら
***************
近畿勢がシリーズを優位に進めるか
昨年の覇者・脇本雄太は左肘関節の脱臼骨折により欠場となったが、近畿勢が好結束を見えて、シリーズの中心を突っ走るか。寺崎浩平は8月オールスターでG1初優勝を果たしており、初のグランプリ出場権も獲得。寛仁親王牌、四日市G3と準決勝で敗退しているが、昨年も決勝進出している競輪祭で、持ち味のスピードをいかんなく発揮する。古性優作は今年のビッグレース優勝こそ3月ウィナーズカップG2のみだが、コンスタントに決勝進出を果たして賞金ランキング1位を突き進んでいる。直前の四日市G3で決勝4着。準決勝後も「調子ではなく、シンプルに弱い」と振り返っており、今年最後のG1戦に向けて、どう態勢を整えてくるか。G1優勝8回、GP優勝2回の古性がまだ手にしていないタイトルは競輪祭と日本選手権の2つ。全冠制覇へ、大きな前進があるか。
南修二は共同通信社杯でG2初優勝、現在は賞金ランキングで7位につけている。すでに獲得賞金も1億円を超えており、初のグランプリ出場まであと一歩の状況だ。直前の大垣F1は、準決勝でラインの先頭を走り、番手の外並走から6着敗退に終わったが、最終日は好位置から捲り1着でしめくくっている。近畿勢にとっては寺崎や古性が出場権をほぼ確定させている状況もプラスに左右していきそうだ。
***************
南関東勢は深谷知広が勝負駆け
今年の南関東勢は、ここまでビッグレース優勝には届いていないが、G3を6回優勝の郡司浩平が賞金ランキング6位につけている。今年のグランプリは地元地区の平塚開催だけに、譲れない思いも強いだろう。だが、郡司はオールスターの最終日、寛仁親王牌の初日に失格している。グランプリの選考除外基準に「選考期間内のG1・G2における失格回数が3回以上となった者」という規定があるため、ここは注意が必要だろう。
賞金ランキング9位で迎えるのが深谷知広だ。9月奈良からグレードレースは準決勝敗退が続いているが、随所に見せるパワー駆けは、他地区にとって脅威でしかない。昨年は賞金ランキング10位で競輪祭を迎えたが、準決勝で郡司と連携も落車に終わった。2年ぶりの大舞台へ、1走目から深谷の動向は最も目が離せないところだろう。
南関東勢は松井宏佑も13位につけている。競輪祭は過去2回の優出もあり、23年は準優勝。直前の小田原G3では郡司マークから優勝しており、「このまま調子を上げていけば競輪祭でもいい走りができると思う」と、地元グランプリへ逆転出場を狙う。S班の岩本俊介は賞金ランキング16位。連続グランプリ出場は正念場だが、今年何度も決めてきた南関東勢の結束から初タイトル奪取を目論む。
***************
好相性の競輪祭で関東勢も躍進も
関東勢は眞杉匠と吉田拓矢の2枚看板がリードする。今年は平原康多の電撃引退があって主柱を失った関東勢ではあるが、新たなゴールデンコンビとして、ビッグ戦線をけん引している。吉田は日本選手権の優勝で4年ぶりのグランプリ出場権を獲得、ビッグレース決勝に今年は5回進出するなど安定感が光っている。4年前は競輪祭でG1初タイトルを奪取して、賞金ランク11位からグランプリ逆転出場を決めたが、出場権を持って挑む今開催も要注目だろう。なお、直前の富山F1は捲りでしっかりと優勝している。
今年の眞杉は4日制になったサマーナイトフェスティバルでG2優勝、ウィナーズカップと日本選手権で準優勝して、賞金ランキング5位につけており、ほぼグランプリ出場は確定だろう。11月四日市G3は準決勝1着で「セッティングなどはもう少し。体調は大丈夫」と振り返っており、強力なメンバーがそろった決勝では先行勝負に出て、番手の神山拓弥が優勝している。競輪祭は23年に優勝、昨年は準決勝敗退もシリーズ3勝をあげており、2年ぶりのG1タイトル奪取に期待だ。賞金ランキングでは、この両者のあとの関東勢は27位の坂井洋まで間があいているのが現状だが、眞杉、吉田に続く選手が現れると、さらに関東の勢いも増すことだろう。
***************
中国・四国勢 はラストチャンスにかける
現在3名のS級S班をようする中四国勢だが、賞金ランキングでは犬伏湧也が12位、清水裕友が15位、落車で長期欠場もあった松浦悠士は50位圏外となっている。上位の獲得賞金額も高く、苦しい状況には変わらないが、犬伏は昨年の競輪祭で準優勝。今年こその思いで、グランプリ初出場に向かって渾身の走りを見せるか。また、SS以外では松本貴治がランキング10位につけている。寛仁親王牌では準決勝で南関東ラインを分断して1着取り。決勝は犬伏湧也との連携で、道中8番手におかれるも、切れ込んで準優勝だった。9位深谷とは約530万円差で、グランプリ初出場も狙える位置といえる。
また、中国地区にとって大きいのは太田海也の参戦だろう。今年もナショナルチームの活動に注力しながら、ビッグレースは4開催で決勝進出。競輪祭は23年にG1初優出(4着)しており、昨年は二次予選敗退もシリーズ4度の確定板入り。世界を舞台に戦うスピードは一線級であることに疑いの余地はないし、「納得のいくレース」で自身のG1初タイトル奪取は狙っていく。もちろん、太田の参戦は中四国勢にとって大きな戦力アップで、チャンスも広がっていくだろう。
***************
嘉永泰斗の初タイトルで九州に追い風
嘉永泰斗は10月寛仁親王牌でG1初優勝。単騎戦ながら、勝機を逃さず捲りで押し切った。次の四日市G3は二次予選で勝ち上がりを逸したが、タイトルホルダーの仲間入りをして迎える地元地区のG1は、よりいっそう期待も高まるところ。初のグランプリ出場権も獲得しているだけに、年末に向けても、ここをどう戦うかは重要になってくる。ホームの北津留翼や園田匠、ナショナルチームの山崎賢人や今年G3を3回優勝の山田庸平、ベテラン健在の荒井崇博ら、地区全体にも勢いが波及すれば、ますます楽しみになる。
新山響平は賞金ランキング11位で、グランプリ出場は黄色信号が灯っている状況だ。10月に松阪G3を優勝したが、寛仁親王牌、小田原G3は準決勝敗退。積極果敢なレースは変わらず、やはり新山の動向がレースの流れを生むことが多い。競輪祭は21年に準優勝、22年にG1初優勝の実績ある大会でもある。ナショナルチームの中野慎詞や小原佑太、さらに菅田壱道、守澤太志、佐藤慎太郎、成田和也らが固めれば、北日本勢も差は無く躍進も十分だ。負傷欠場あけになるが、1年ぶりのG1参戦になる新田祐大にも注目したいところ。
競輪祭の優勝歴ある浅井康太、寛仁親王牌でシリーズ3勝をあげるなど好気配が際立つ山口拳矢らの中部勢も軽視はできないし、各地区から、まだまだ多くのV候補が集う。KEIRINグランプリの最後の出場権をめぐる争いは、今年も初日の第1レースから、見逃すことができない。ここですべてが決まる。6日間のナイター決戦が、いよいよスタートする。
***************
加藤慎平さんの開催展望や、小倉バンクの特徴、競輪祭の勝ち上がり解説や開催データは、第67回朝日新聞社杯競輪祭特集ページにて掲載しておりますので、こちらでご確認ください。
【第67回朝日新聞社杯競輪祭G1特集】
※掲載は11月17日現在の出場予定メンバーとデータです。
(P-Navi編集部)